No. 1,145 こころのメモ894(ACアダルトチルドレン札幌

131/365 【心的外傷と回復】恐怖④



こんにちは村上です。
ジュディス・L・ハーマンの『心的外傷と回復』から一部抜粋して話しています。
本書は、戦争で受けた心の傷と、レイプや虐待で受けた心の傷は、同質のものであり、回復にはPTSDへの理解や、専門的な治療、セルフケアが必要で重要であると説明しています。
少しでも生きづらさが楽になるようなヒントになればと思います。



心的外傷と回復
第二章 恐怖 p.48  13行目

 このような断片化は、外傷が、ふつうはまとまって働く精妙な自己防衛システムを切り裂いてバラバラにするからである、外傷後ストレス障害に対する観察は歴史的にこれを中心としてきた。一世紀前、ジャネはヒステリーの病理の本質が「解離dissociation」であることを正確に同定している。ヒステリー者たちは彼女らを圧倒した事件の記憶を(意識に)統合する能力を失った人たちであるとされた。催眠術をはじめとする周到な研究技法を用いて、ジャネは外傷的記憶が通常の意識からは切り離されて一種の異常状態において保存されていることを証明した。ジャネは記憶と知識と感情との正常な結びつきが切り離されてしまうのは外傷的事件に対する激烈な感情反応の結果であると考えた。彼は「強烈な感情の持つ"dissolving"(溶融)作用」と言っている。これが心の「統合的synthesizing」機能を無力化してしまうのである5。

5.P.Janet,L'Automatisme Psychologique(Paris:Fe'lix Alcan,1889),457.ジャネの心的外傷論の展望と要約は ━︎━︎━︎━︎ B.A.van der Kolk and O. van der Hart,"Pierre Janet and the Breakdown of Adaptation in Psychological Trauma," American Journal of Psychiatry 146(1989):1530-40.


「断片化」は、あまりにも大き過ぎるショック体験により、心的外傷を負った人は、通常の心の処理能力が破壊されると言っています。記憶と感情が分断されてしまい、感覚はバランスを取れず、感情はあたかもバラバラとなり、心が働かなくなることで、生きていくこと自体が困難になる可能性が高くなると考えられます。



 五十年後、エイブラム・ガーディナーは、戦闘神経症の病理の基本を記述するのにジャネに似た表現を用いた。人が恐怖と孤立無援感とに圧倒された時「協調し、調整し合い、目的にかなった行動がめちゃめちゃになる。知覚は不正確となり、すべて恐怖に彩られ、弁別と判断との協調活動は円滑に働かなくなってしまう。(中略)感覚器が働かなくなることさえある。(中略)攻撃的な衝動はまとまりを失って解体され、状況にそぐわないものとなる。(中略)自律神経系の機能も生体の他の働きと連合しなくなる6」。
 外傷を受けた人は自己の神経系が現在から切り離されたかのように感じ、また行動する。詩人ロバート・グレイヴズは、市民生活においても第一次大戦の塹壕に戻ったかのような反応が続いていたと記している。「私はまだ精神も神経も戦争のために組織されたままである。砲弾が深夜に私のベッドで炸裂する。妻のナンシーがいっしょに体験してくれるところがちがうけれどもー。白昼他人に会うとしばしば戦場で殺された友人の顔にみえてしまう。元気がある時はハーレッチの村の裏山を登って私の好きな田舎を歩くのだが、その時にもそこがこれから戦いが始まる戦場に見えてしまう7」。
 外傷後ストレス障害の多数の症状を三つのカテゴリーに分けることができる。三つとは「過覚醒 ━︎━︎━︎━︎ hyperarousal」「侵入 ━︎━︎━︎━︎ intrusion」「狹窄 ━︎━︎━︎━︎ constriction」である。「過覚醒」は長期間にわたって危険に備えていたことを反映し、「侵入」は心的外傷を受けた刹那の消えない刻印を反映し、「狹窄」は屈伏による無感覚反応を反映している。

6.A.Kardiner and H.Spiegel,War,Stress,and Neurotic Illness(rev.ed.The Trdumamatic Neuroses of War)(New York:Hoeber,1947),186.
7.R.Graves,Goodbye to All That[1929](New York:Doubleday,1957),257.






みすず書房ホームページ


※当記事の参照元
心的外傷と回復 ジュディス・L・ハーマン 著 中井久夫 訳 小西聖子 解説/1998年9月10日 第10刷発行/みすず書房/400ページ/6,600円+税




担当心理カウンセラー
村上なおと

カウンセリングサロン Anela
札幌市中央区北3条西18丁目2-11 ブランノワールW18.exe 301号
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