No.6 機能不全家族 ー② | アダルトチルドレン専用カウンセリング札幌

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今日もお読みになっていただき、ありがとうございます。心理カウンセラーの村上直人(なおやん)です。あなたにお読みになっていただいて、私はとっても嬉しいです。記事No.4から機能不全家族についてお話しておりますが、前回の記事No.5では、私の幼少期からの経験を通じて機能不全家族の元で育ったことでどのような影響が私にあったのかについてお話いたしました。
そのことから私自身がどのような考え方をもつようになったのか、それに伴い物事に対する受け止め方の癖についてお話し、これらに対する課題を述べました。今回も引き続き機能不全家族についてお話いたします。

 

本題に入る前に大事なことをお伝えします。このアダルトチルドレンの概念をお話する目的は、もしお読みになっているあなたが、何か生きづらさを感じているなら、そのお気持ちを少しでも軽く穏やかにするための、考え方や物事の受け止め方、そして行動を知っていただき、それを継続することです。決してあなたのご家族やあなた自身を責めるための情報ではないということをお伝えしておきます。「なぜ自分は慢性的に生きづらさを感じているのか?」という感覚をもたれているなら、例えば苦しいという気持ちを軽減するために、ご自身でそれを感じとり言葉にする必要があります。人はよくわからないことや先の見通しが立たないことに対して不安を感じますので、少しでも自己理解がすすめば、気持ちは安らぎ「こんな自分でもいいんだ」と、だんだん自分を認められるようになります。

 

自身を肯定的に捉え直すことは、時間がかかるように思われます。人によっては一生この取り組みを続ける必要があるかも知れません。なぜなら、性格は変えられないからです。しかし、これから先の人生は肯定的に変えられるのです。そのために、過去の自分の心の傷を癒し(その傷をみることは時として恐ろしく感じますが)回復して、自分自身を許し、考え方、物事の受け止め方を肯定的に捉え直すことで、前向きな行動を継続することができるようになります。

 

さて、機能不全家族についてのお話に戻ります。今回は次の著作を参考資料として機能不全家族についてお話いたします。

 

『アダルトチルドレン・シンドローム』
ウェイン・クリッツバーグ 著
斎藤学 監訳
白根伊登恵 訳
1998年 金剛出版

 

クリッツバーグは本作で、問題のある家族のことを、「アルコール問題家族」と呼んでおりますが、機能不全家族がなぜ家族として機能しないのかという意味において置き換えることができるために今回参考とします。

アルコール問題(嗜癖)を抱える親が支配する家族には、4つのルールがあるとクリッツバーグは言います。

 

 

1. 硬直のルール
2. 沈黙のルール
3. 否認のルール
4. 孤立のルール

 

 

記事No.4でお話しましたように、機能不全家族の中心となるのが親の嗜癖になりますので、特に養育される子どもに対するルール(弱い立場であるという意味においては、嗜癖に陥っておらず経済的自立をしていない場合の妻か夫も対象)であるとも言えます。これら4つのルールは、家族の中に嗜癖者がいるという事実に順応するため暗黙裡に守ることを強いられます。それは決して健康的な行動パターンではなく、嗜癖者が存在しなくなっても4つのルールは習慣として生き続け、次世代へと引き継がれていきます。家族が家族として生き残るためにつくり出された方策ではありますが、機能不全家族の日常には混乱(一貫性がない)や不条理、不合理さが常態化しているために何とか少しでも秩序と安定を求めた結果であるとも考えられるルールなのです。
では4つのルールを順を追って見ていきましょう。

 

1. 硬直のルール
嗜癖に陥っている親を中心としているために機能不全家族には安定感や柔軟性がありません。なぜなら嗜癖者は予測不可能な行動をとるために、他の家族は少しでも安定しようと(地に足を着けようと)硬直した姿勢をとります。このルールの被害を最も大きく受けるのは子どもです。対人関係を学ぶための環境として家族(家庭)があると考えますが、嗜癖者の親(と、そのパートナー)と健全なコミュニケーションができないために、対人関係における言わば“ 練習試合 ”ができません。例えば、「自分はこんな場面で〜なことを言われたら嬉しいんだな」「相手は時として〜なことを言われたら傷つくんだな」というコミュニケーションを学ぶことができないという意味です。このことから子どもは、健全な社会性や前向きに成熟する機会を奪われ、情緒的に成長することができないのです。嗜癖に陥った親は子どもを子どものままにしておこうとする傾向があります(承認しない、否定し続ける、禁止令で縛りつける、過干渉や過保護、そして身体的・情緒的に見捨てることが挙げられます)しかし、責任は常時負わされますので、これにより不条理や不合理さを感じます。それは親の代わりに弟や妹の面倒を押し付けられたり、家事をやらされたり、親の世話までさせられる場合があるのです。

 

行動には責任を負わされますが、情緒的に成長する機会を奪われたアダルトチルドレンの場合、成人後に情緒面に問題を抱える可能性があります。それは、親とかかわる際に明確となり、「小さな子ども」(後にお話しますインナーチャイルドに関連)に戻ります。このような感覚は、「ぼくは大人の男だけれど、親といっしょのときは5歳の子どものままみたいな感じがするんです。怖くて、言いたいことも言えなくて、びくびくしているんです」というメッセージに象徴されるように、幼少期に抑圧された子どもとしての欲求が果たされないまま大人になったことで、子どもらしい自由や喜びを真に味ったことがないという喪失感を感じることとなります。この抑圧された思いが、大人になると支配したい欲求となります(それは、アダルトチルドレンにおけるコントロールできなかったという無念さとも言える)。つまりこの信念にも似た、「この世のすべては予測不可能である。だから、私は他人も含めたあらゆる対象を支配していなければならない」という歪んだ考え方になってしまうのです。アダルトチルドレンとは、そうせざるを得なかったという意味においては概して非常に真面目な人々と言えるのかも知れません。

 

 

No.7に続きます。
お読みになっていただき、ありがとうございます。あなたの人生が、より肯定的に捉えられますように願っております。

 

 

THE ADULT CHILDREN OF ALCOHOLICS SYNDROME
A STEP - BY - STEP GUIDE TO DISCOVERY AND RECOVERY
by Wayne Kritsberg
Copyright ©︎ 1985 by Wayne Kritsberg