No.3 嗜癖について

 

今日もお読みになっていただき、ありがとうございます。心理カウンセラーの村上直人(なおやん)です。あなたにお読みになっていただけて、私はとっても嬉しいです。今回もよろしくお願いいたします。

 

前回の記事No.2 ではなぜ、「私は親のようにならない」と思うのか、そこにはどのような思いがあるのかについてお話しました。記事の最後に、「私は親のようにならない」という思いに至ったのは、自分が望んだことだったのか?というYes or No で答えられる質問で終わりました。まだお読みになっていない方は是非No.2をお読みください。


既にお読みになったあなたの答えはどちらでしたか。もしくは答えられなかったでしょうか。

私としては、この思いに至ったのは自分が幼少期に親から何らかの理由で「私は親のようにならない」と思わされる関わりをもったためだと解釈します。だから、自分から望んで親のようにならないとは思わないはずだと考えるのです。生まれたときから親のようにならないと思っている子どもはいないですから、成長する過程で何かがあったために、そう思わざるを得なかった。端的に表現すると、この原体験により、大人になった今、生きづらさを感じているのがアダルトチルドレンなのです。


では、その原体験とは何が考えられるのかについて見てみます。

アダルトチルドレンという概念では、アルコール依存症の親がアルコールという嗜好物の飲酒を止められないなか養育することが、その子どもに甚大な影響を与えるとします。この嗜好物の摂取が止められないことを“ 嗜癖(しへき・アディクション)と呼びます。さらに研究は進みアルコールだけではなく、様々な嗜癖があることがわかり、嗜癖をもつ親に育てられる(原体験)ことが子どもの成長過程や、成人後にどのような影響があるのかを知ることが重要なのです。

では、嗜癖について記事No.2でご紹介しましたクラウディア・ブラック著「私は親のようにならない」から引用しお話します。

 


嗜癖には、物質嗜癖と過程(プロセス)嗜癖があり、しばしば両嗜癖は共存し、相関している場合があります。アルコールの他に、ドラッグ、ギャンブル、ゲーム、浪費、スポーツ、摂食障害、仕事、セックス、恋愛、対人関係嗜癖などが挙げられます。これら嗜癖全般の共通点は次の通りです。

 

1. コントロールできない行動パターンで、いったんその物質や行動に携わると、使用を予測することも、自分でやめることもできなくなる。
2. その行動がもたらす負の結果。
3. 負の結果にもかかわらず、やめることができない。
4. 耐性と耽溺量の増大→思うような効果を得るために、もっと使用したり、はまったりする必要。
5. 最大の関心事→嗜癖行動についての予期、従事、反省が自分の思考と感情の中心となっている。
6. 否認→自分の行動を問題行動と捉えることについての過小評価、合理化、否認が嗜好者の思考の隅々にまで浸透しており、妄想的思考といえるほどである。

 

 

嗜癖することでの問題とは、摂取や使用または過程に依存することで自身を常時コントロールすることができなくなり、自分の行動が予測できなくなることを指します。このような嗜癖をもつ親に育てられたら、その子どもはどうなってしまうのか…「私は親のようにならない」と思っても仕方がないのではないでしょうか。しかし、本当の問題としては、アダルトチルドレンという概念において、その親もまた、嗜癖をもつ親に育てられたために、自らが望んで嗜癖にはまったわけではないということです。つまり、嗜癖は世代から世代へと連鎖するのです。ここでお伝えしたいのは、「アダルトチルドレンになってしまったのは親のせいだから、親に責任を取らせる。または、親を責める材料にする」ということではありません。

 

あなたが、ご自身をアダルトチルドレンだと受け入れられることができたなら、あなたの世代でこの負の連鎖を断ち切ることが重要なのです。「いや、自分自身は嗜癖がないので問題ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。次回の記事No.4で、嗜癖以外についても見ていきたいと思います。

 

 

お読みになっていただき、ありがとうございます。あなたの人生が、より肯定的に捉えられますように願っております。

 

【参考文献】
『私は親のようにならない』改訂版
クラウディア・ブラック 著 斎藤学 監訳 2004年 誠信書房