恥ずかしながら、70歳になって、自分の脳の使い方を会得した気になっている。
10年ほど前、それまでしていた合唱のため、「正しい発声を」と思い立ち、ソロの声楽を学び始めた。
声楽の先生は、イタリアで学んでこられたご夫婦である。彼らによると、イタリア式の声楽は、日本では、殆ど歴史がないとのことであった。
音楽の分野では、明治時代、ドイツ留学組が主流で、現在に至っても、日本では、イタリア式声楽の歴史は、20年程度しかないらしい。
言語の発音から、声楽の練習で使う言語は、イタリア語が圧倒的に多いようだが、その理由は、イタリア語では、響きがつぶれにくいためである。
ヨーロッパの作曲家は、皆、その事を知っていて、イタリア語で多くの曲を残した。
(日本語の「イ」と「エ」は、そのままでは歌にならないため、「イ」「エ」は、「オ」に近づけて発音する。)
当前だが、イタリア語は、歌唱法の標準、ベルカントに適しているのだ。
毎回、与えられた課題曲を見ると、最初は、不可能に思えるのだが、素人なりにやれている。
外国語会話の習熟法を、多少、応用できるが、学習上の最大の障害は、自らの脳活動である。
<外国語会話習得でのポイントの1>
外国語の習得も声楽も、さらにスポーツでの技術の習得も、どこをどれだけ、自動化できるかが、キーである。
ピアノ演奏では、演奏者は、次から次に流れるメロディを考える暇はなく、指の動きを自動化している。
スポーツの場合、卓球でもテニスでも、武道でも、実践的な練習と同じくらいに、頭でのシミュレーション練習が大切ではないかと思う。
テニスは、ただ練習しているだけでは、試合の時、相手が返球し易い球ばかりを打つ癖ができる。
試合で勝つには、頭の中で、球筋を変え、相手の弱点を突くシミュレーションを繰り返すべきだろう。
外国語も話す技量については、初歩の挨拶程度は、反射で発話するのであって、言語そのものを考えているようでは、自然な対話にならない。
この点、外国語は、初歩段階できちんと練習しないと、後どんなに勉強しても、自然に話せなくなる。
(母国語が介在するようになるため)
自然な発話速度が得られないと、速読ができない。なぜなら、読むのも、話すのも、英語の論理回路は、同じだから、話す速度が、一定以上に行けなければ、自然に読む速度が得られなくなる。
(日本語を介在して読む癖が、抜けなければ、勉強するほど、ダメになる。スポーツの練習なら、悪弊を強化しているだけになる。)
<外国語会話習得でのポイントの2>
睡眠時間を活用することである。
最初、難しく思えても、繰り返し、挑戦していると、頭の中で終わりまでシミュレーションできるようになる。
睡眠中に繰り返して、いつのまにか、できるようになる。
<外国語会話習得でのポイントの3>
「できないのでは?」とか、恐れないことである。練習の途中、失敗があっても、途中の出来栄えを悪く思わないことである。
長さ50メートル、幅1メートルの陸上競技のトラックを地上に描き、その上を走れと言われると、障害がない人には、容易である。
しかし、この1メートル幅のトラックだけを地上30メートルの高さに置かれると、普通の速度では、走れなくなる。
無風の状態なら、落ちるはずもないのだが、落下を恐れるため、走れないのだ。
あれだけ、何年も英語を学んで、話せないあなたの障害は、教育の方法論と貴方の心である。