現在の選挙制度(政治)が、欧米の「トップーダウン」型であるのに対し、
熟議選挙なら、日本的な組織経営の特長である「全員参加」、「ボトムーアップ」、「カイゼン」(PDCAの活用)を起こせる。
従来からの政治制度に選挙時の「ボトムーアップ」が、加わり
SDGs で言われている
"Leave no one behind!" (一人も後に残さない!)が、可能となる。
政策を実行したとき、従来の「トップーダウン」だけに比べて、選挙時の熟議から「ボトムーアップ」が加わるインパクトは、絶大である。
政策実施の際、多くの有権者の協力や賛同が、得られるためである。
勝抜き熟議選挙のメリットをまとめると、
1.有権者が、課題・政策に関し理解を深め、意識が向上。
2.選挙人(最終選挙人候補を含む)や立候補者を通して、一人一人が希望や苦言を出す。
(皆が、選ばれる人材に直接、要望を託せ、精神的にも良い。)
3.立候補に経費がかからず、政治の透明度が改善。
4.多くのレストラン、集会所が使われる経済底上げ効果。
5.政策実施時、市民からの「ボトムーアップ効果」で、インパクトが大。
6.役所職員・有識者と市民との交流で行政サービスの向上。
7.世代間、業種間、セクター間の議論で知恵の伝承。
8.世代間、業種間、セクター間を超えて地域コミュニティが形成される。
9.立候補倍率が高くなり、誰が選ばれたとしてもリスクは低い。
10.有権者は、「なりたい人」からでなく、「ならせたい人」から人物を選ぶ。
11.宣伝巧者でなく、実務派人材が選ばれる確立が高い。
12.人的ネットワークが、政治、行政に全体最適を実現。
(政治圧力団体ではない。)
13.定期的評価が、政治に緊張感を生む。
14.アドバイザー効果が、政治家を支える実務ネットワークになり得る。
15. 熟議の機会が、リーダーに謙虚さを忘れさせない。
16.その他。
選ばれた人物は、タフな実務派であり、日本の政治リスクを最小化させることだろう。
例えば、各地域の原子力発電所の建設・操業には、多くの政治家が関与してきたはずである。
しかし、実務経験のある政治家人材が、一人もいなかったように思える。
福島原発の事故にしても、中学校の理数科レベルの知見と、リスクマネジメントの実務経験があれば、完全に防げたであろう。
電源喪失の際、自然循環バルブが、全部、「開」となるように設定されていなかった。これらバルブが、「開」に設定されていたなら、ボイラー冷却で7時間の時間稼ぎができ、外部からは、全く正常な運転停止ができていたのである。
この間違いは、玩具の電池の+- を逆にしていた程度の簡単な初歩的見落としである。
各地域で実務派の政治家が増えれば、少ない人手・予算で多くの問題が解決できる。
また、参議院を「勝抜き熟議方式」で選べば、衆議院との相乗効果も期待できるだろう。
千倍以上の倍率から熟議で選ばれた集団と、これまでのように立候補倍率が1~2倍程度で、多くが世襲、宣伝・選挙巧者の集団との比較を考えればよい。
勝抜き熟議選挙は、革命的な手法ではない。
これは、従来から大組織が、経営幹部人材を昇進させるプロセスを、加速させて短期間に実施することと変わらないからだ。
また、開発途上地域で実施すれば、政治家が社会的弱者にも耳を傾ける習慣となり、テロリズムの発生要因を減じることもできよう。
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以下をご参照ください。
「仕事基準」の選挙;「勝ち抜き熟議選挙」
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「勝抜き熟議選挙」の考え方は、2014年次大会特別号(3月)リスクマネジメント協会:Research Paper 「日本のリスクは、トーナメント方式の熟議選挙で減らせる。」で発表した。
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この課題:最初からの議論は、以下をご覧ください。