「金メダル」を目指し、北京入りをした星野ジャパン。



しかし、結果はそのまま受け止めないとしょうがない…」と謝罪した星野監督。勝たなければならないところで、韓国チームに2敗。米国に4-8で逆転負けして、4位に終わった。



3位決定戦では、米国のパワーの前に投手陣がねじ伏せられた。



2000年のシドニー大会以来のメダルなしという無残な姿だった。



「金メダルを獲得したソフトボールの女子チームには、ここぞという気迫があったが、日本の野球チームの選手からは、気迫が感じられなかった。」と言う声や「イチロー、松坂、松井といったMLBの選手がいないとはいえ、人選が・・・」との指摘も。



昨年のアジア予選(台湾)の時は、神戸、宮崎で計17日間の合宿したが、本年8月2日に始まったジャイアンツ球場での直前強化合宿練習は実質、5日間。しかも、5日は、雷雨で巨人2軍との練習試合もできず、室内練習場での調整だけ。



今回は準備期間が半分以下で、しかも、外出自由で、チームワークを醸成できなかったようだ。



キューバは、5月下旬に1次候補選手で合宿をして、7月には、国際大会(オランダ)に参加。北京入り前には、韓国キャンプと準備を進めた。その韓国は、野球のリーグ戦をひと月前から中止して、練習に集中。



米国も、球宴前日には、米国籍以外のマイナー選手の選抜チームと対戦したと言う。



一方、日本は、自国内で短い強化試合をしただけ。その試合もメロメロに負けていた。野球は、チームスポーツで、やはり、チーム作りができていなかったのだろう。



また、賞金額と言う面では、どうだろうか。



北島選手が、金メダル2個と銅メダル1個で賞金がなんと7百万円ぽっちり。日本は、金メダル一つで300万円しかない。



他の開発途上国と比べても、少なすぎないか。



マレーシアやタイでは、金メダル1個で3~4千万円とか、桁違いだ。



勝つためには、実力に加えて他の要素も絶対に必要だ。


選手によっても違うかも知れないが、心の底から燃えさせる何かだ。



本番前にテレビ番組に出ても、有名選手にとっては、練習の邪魔で、モーティベーションの向上には、ならないのでないか。



聞くところでは、韓国代表の選手たちはメダルを取ると兵役が免除されるらしい。だから、韓国選手は、必死で試合に臨むのだ。



いいではないか。個人が本当に望む何か一つをシンボルとして満たしてあげれば。



また、韓国は、国を挙げての取り組みも断然凄い。ボールも国際試合と全く同じものを使ったり、とにかく勝つために何をすべきか、準備をしっかりしている。


比べて日本は、・・他の競技ではどうか?



日本柔道は、7階級中、なんと4階級で一回戦で敗れた。(平岡拓晃;60キロ級、金丸雄介;73キロ級、小野卓志;81kg級、鈴木桂治;100kg級など)



とにかくやるべきことをしていない。



攻めに関しては日本的な柔道のままでもいいかも知れない。



JUDOは、世界200カ国に柔道協会があるように国際化しており、レスリングやサンボなどの様々のベースでの柔道がある。日本の旧式の柔道は、オリンピックのJUDOと異なる。



ルールがおかしいと言う声があるかも知れないが、国際会議で日本の主張を通せなかったのは、日本が、その時点で国際交渉に負けたのである。



ルールが重要であることは、誰でも知っている。しかし、日本は、国際交渉に勝つために、プロのNegotiatorsを雇用したのだろうか。



論理性が重要な国際交渉では、「人基準」で「過去の実績から、あの人もなかなかにいい人だ。」と言うことだけでは、意見が通らない。負けた後で、交渉戦略が違い、そうなるとは、思わなかったとは言えないのだ。



国際交渉は、プロ人材でなければ、通用しないだろう。



空母が重要な役割を果たすようになった時代に、巨艦主義で大戦に敗けたことを忘れたのだろうか。



国際交渉の場で、ルールが決まったのだ。そこは、スポーツマンらしく、素直に認めることが大切だ。



一旦ルールが決まった以上、勝つためには、組み合うことを前提にした日本古来の柔道に我々は、こだわってはいけない。そして、誇りがあるのなら、勝つべきだ。



既に食料自給率で40%を切った我が日本である。外国の資金だからと言って、日本の株式市場で、日本企業を買収することを拒否してはいけない。国際ルールを拒否すると、とんだところで、損をする。



食料は、他人のフンドシで立派に試合をしているのだ。金融になると他人のフンドシは、不愉快だと言うのは、理屈にならないだろう。



そんな鎖国をしていると、どんどん、日本経済が衰退してしまう。



他人のフンドシでも楽をして(頭を使って)稼ぐ方法を学ばなければ、いつまでたっても過去の努力から収穫できず、個人の時間を犠牲にして、日本人の多くが、死ぬほど働き続けなくてはならない。



もう一つ、勝つために重要なのは、選手たち自身の技術や精神力に加え、彼らを指導する周りの人たちの意識や管理体制だ。



女子マラソンの野口が走れないことがわかったとき、控えの選手が誰もいなかった。



もったいないではないか。



仮に控えの選手として指名されていたとしても、断る選手もいなかったのではないか。



日本の陸上競技で毎回花となるマラソンについては、男子も女子も、なんと2人しか走らなかった。何をしているのか。江戸時代なら、担当役員は、切腹かも知れない。



直前になって、競技のルール改正を知ったこともあったようだ。


もっと早くから、世界の動きや情報に敏感になっていないといけない。



国際的な環境で、がたがた協議する状況になると、どうも逃げ腰になるのが、日本人。



政府職員は、減点を恐れて、議論を戦わせない。だから、若い政府職員が、海外で先輩の職員チームが国際交渉に臨む態度を見て、「もう、同じ日本人として恥ずかしい以外に表現がない。」と言う声を聞いたことがある。



欧米諸国は、各国数人の代表で堂々と持論を述べるのに対して、日本は、20-30人のチームだったりする。



そして、おどおど、意見も言わず、意思決定もできず、日本の本部にメールとファックスを入れて、お伺いを立てているだけだと言うのである。



誰が、見たってカッコ悪すぎないか?



これは、断じて、個々人の能力の問題ではない。

組織マネジメントの哲学の問題なのだ。要するに、交渉でのシナリオ作りなどの段取りと権限委譲がされていない勢だ。



かつて、西アフリカで世界銀行など国際協力機関による会議が、定期的に開催されており、欧米先進諸国の職員と共に日本も参加していた。



多額の資金を出す日本である。



丁々発止と最大の資金供与国として誇りをかけ、議論すべきであるのに、国際協力事業団は、正規職員でない日本人の博士課程の若い女子学生(研究職)を出席させていた。



様々な人種による種々雑多の英語による会議である。TOEICで言えば、950点程度が要求されるところ。



なぜ、日常の英語会話がやっとの人材を送るのか。



そして、その会議で回覧された資料コピーを依頼すると、一週間ほどして、出せないなどと言う。



要するに、資料を読解し、どうすれば自国に有利に国際会議をコントロールできるかと言う最低限のことを検討する意識も能力も、その政府関係組織にはないのだ。



もう、絶望的にマネジメントが馬鹿になっている。長年の間、権限の委譲がなされておらず、その結果、人材が育っていないのである。



マネジメントの専門家としての私は、「日本に帰れ!」と叫びたくなる気持ちを抑えるのが、たいへんだった。



陸上競技、男子400Mリレーでは、選手は、すべきことをしっかりしたお蔭で銅メダルが転がり込んできた。人事を尽くして天命を待った成果である。



今回のオリンピックの経験から、JOCは、学んで欲しい。



体制を見直すべきだ。コンティンジェンシー・プランを見直すべきだ。



陸上競技連盟、柔道連盟、バレーボール連盟、野球、サッカーの関係者は、結果を真摯に受け止めるべきだろう。



それが、税金を使った関係者の態度と言うものである。


最後に「仕事基準」の観点から重要ポイントをまとめると;



1.過去の失敗で、その原因を直視したか。



2.現場で事実を把握しているか。



3.責任の範囲を定義し、その中で現場に権限委譲したか。