そう、あのホストの「王子」として酒で体を壊しながらもトップ争いを繰り広げていた夕聖さんが書いたコミュニケーション術の本。
時給100万円の会話術
元カリスマホストが教える時給100万円の会話術
夕聖(著) KKロングセラーズ

読んでの感想は、「納得」の一言。
どんな世界でも1番になる人は学ぶべきところがあり、また陰での努力があると思っています。
それを垣間見ることができました。
というのも、この本には専門用語はまったく使われていませんが、企業のコミュニケーション研修でやることや、コーチングやNLPで学ぶようなことが書かれています。
いわゆる、ラポール構築のためのミラーリング(ペーシング)、ポジション・チェンジなどについて、そういった言葉を使わずに書かれています。
お金を払って「コミュニケーション」そのものを買いに来る女性たち。
そしてまた派閥争いや仲間からの裏切りなど、厳しいホストという世界。
その中で常に向上心を持ちながら、実践の場でコミュニケーション能力を磨いてきた著者だからこそ、文中に語られる経験も踏まえて説得力があります。
中身は、著者のこれまでのホストとしての実体験を交えながら、コミュニケーションについての方法論を幅広く伝えています。
上司と部下の関係構築はもちろん、男女の上手な別れ方にいたるまで書かれています。
コミュニケーションについて勉強をある程度されている方にとっては、ホストの世界を垣間見ることができる以外は、目新しい内容はないのですが・・。
この著者の経験からくる独自の特徴的な考えであると感じたのが、部下との関係における「テイク三ギブ一の法則」と「一五の法則」です。
多くの方がご存知のように、昨今のコミュニケーションの考え方では、最低でもテイクとギブは同じくらい、最近では、「ギブを圧倒的に多くする」という考え方が主流です。
著者は、後輩をかわいがり面倒を見過ぎたがために、後輩たちが著者を頼り過ぎたり、「してもらって当然」というようになった経験から、部下や後輩がしてくれた三のことに対して一返すくらいがちょうどいいと学んだようです。
また、「一五の法則」というのは、してあげるほうは五のことをしてあげたつもりでも、されたほうは一くらいにしか思っていないということからきています。
「部下に対しては、面倒を見過ぎず、ちょっと厳しく振舞い、期待もしすぎないくらいがちょうどいと思います。」とあります。
ちょっと寂しい気もしますが、ある意味、現実を見極めた方法論だと思いました。
ただ、その前後の文章で、ものをあげるという行為は簡単なことであって、心に響きにくい。
それよりは、きちんと相手とコミュニケーションをとったほうがよっぽどいいと言っています。
吉野家の牛丼で構わないから、一緒に同じものを食べるくらいの方がちょうどいいのだと。
この本の中には、打算的に感じる一面もありますが、しかしながら、人間関係において一理あるというか、真を突いたことを正直に本音で書いてくれています。
コミュニケーションのプロが、自身の失敗談を含めて惜しみなくそれを書いてくれたことに感謝したい1冊です。