【世界の茶商】Twinings(London UK) | ほっこり中国茶しませんか?

ほっこり中国茶しませんか?

英語と中国語を駆使しつつ美味しいお茶に巡り合う方法を模索しています。中国茶と、お茶にまつわる歴史が大好物です。

世界の茶商シリーズ。
 
第2回目は、お茶をたしなむ人ならば誰でも知るイギリスの世界的企業『Twinings』(トワイニング)を取り上げます。
 
トワイニング?お手頃なティーバッグの会社でしょう?子供の頃は飲んだけど、お茶にはまった人が手にとる商品じゃないよね』
 
と思ったそこのあなた。
 
そう、すでに茶沼に引きずり込まれているあなた
 
本家本元の『Twinings(イギリス)』と『トワイニング(日本)』とは商品ラインナップも、企業活動の範囲も全く異なります。
 
日本で販売されている商品は計35種類と種類も少なく、お手頃なティーバッグや粉末のスティックティーが主戦場です。
 
しかし、本家本元のイギリスのトワイニングでは低価格帯から高級路線までの様々な商品群を持ち、伝統的な商品から、現代的な商品まで幅広く取り扱うお茶の総合商社です。
 
今回も深くて広いお茶の世界へ飛び込んでいきたいと思います。
 
Twinings HP(イギリス)
トワイニング HP(日本)
 
トワイニングの歴史
 
日本のトワイニングのHPには『トワイニングストーリー』という年代ごとに歴史をまとめたページがあります。
 
1706年に創業したトワイニングの歴史を1700年代、1800年代、1900年代、2000年代(現在)と世紀ごとにまとめてあり、企業の歩みを大まかにつかむことができます。
 
 
創業300年の歴史を語ると長尺になるため、各年代の日本のHPの写真と、代表的な出来事を羅列して紹介に代えさせてもらいます。
 
1706年 1号店 Tom's Coffee House開店
1707年 2号店 イギリス初の紅茶専門店Golden Lion開店
1787年 TWININGSの名称、シンボル決定
1837年 ヴィクトリア女王より王室御用達授かる
 
 
商品のラインナップ
 
種類別の商品数をグラフにまとめました。横軸は商品数、分類はトワイニングの商品分類に合わせています。
 
いわゆる六分類の中では、紅茶と緑茶の二つに特化していることがわかります。
 
紅茶は
 
Black Tea(紅茶)30種類
Darjeeling(ダージリン)12種類
Assam(アッサム)8種類
 
と、分かれているのが面白いですね。
 
Black Tea(紅茶)=ブレンドティー」という位置づけで、複数の産地の茶葉をブレンドしたイングリッシュブレックファーストや、アールグレーなどの有名商品はこの紅茶(Black Tea)カテゴリーの中に含まれています。
 
茶葉を含まない商品は、ハーブティー42種類、ルイボスティー10種類、カモミールティー15種類、ミントティー23種類と数、バリエーションともに多いです。
 
全てティーバッグの商品であることが一番の特徴で、手軽+ローカロリー+カフェインレスというのが売りの商品です。
 
ギフト
 
Gifts(ギフト)の商品を見ていきます。これは見ているだけで楽しい!まずはお茶のお店なら定番の詰め合わせセット。
 
ふんふん、まあよくありますよね。様々な商品が一つの箱に詰まっていて、色々選べてうれしい!!って感じの商品です。こちらは木の箱に入った高級バージョン。
 
これを見て、「うん??どこかで見たような??」と感じたあなたは、海外の高級ホテル通です(笑)。
 
そう、ちょっとお高いホテルだとこのトワイニングの木箱をよく見かけますよね。ホテルの備品として各部屋のポットの横に置かれたあいつです。
 
 
だから、ほら。木箱だけで売られちゃってます。大きな木箱は一つ£44(5,911円)、結構なお値段ですね。
 
次は、Filled Jars(ジャー)。ティーバッグを詰め込んだガラス瓶です。
 
 
ジャーというと個人的には「タイガーマイコンジャー、炊っきったて」というフレーズが頭の中を駆け巡りますが(昭和ですね)、それは置いておきましょう。
 
蓋つきのガラス瓶のジャーはオランダに住んでいた時によく見ました。
 
この中に、クッキーやビスケットが入っていて、子供がぐずるとお母さんが「しょうがないなあ」と、かぱっと蓋を開けておやつをくれる。そんなどの家庭にも一つはあるものです。
 
 
詰め込まれている商品は散茶の入った三角パックのティーバッグです。三角パックは英語だとPyramid(ピラミッド)だそう。ほうほう。
 
 
 
 
Teaware(茶器)のページでは日本に関連する商品がありました。
 
Tokyo Design Studio』は2010年に設立されたデザインスタジオで東京とオランダに事務所を構え、商品はすべて日本の職人の手で作られていて、麻の葉文、青海波などの着物の文様をモチーフにされています。ティーポット、可愛いなあ。
 
気になる商品
 
個人的に深掘りしたくなったのは、『Superblends』というシリーズ。
 
茶葉をシリーズごとに並べた「Our Favorites」というタグがあるのですが、そこのトップ。つまり人気商品だと推測されます。
 
 
これも欧米でよく見るのですが、お茶と言いながら漢方のような効果を期待している商品です。
 
商品名も 
 
Vitarity(生命力)
Sleep(睡眠)
Calm(平穏)
Defence(防御)
 
とストレスの多い社会人が思わず手に取りそうなものばかり。有閑マダムはまず手に取らなさそうな、闇を感じる商品です。
 
 
Calm(平穏)は焙煎したチコリの根にカモミールを加えバニラフレーバーをつけ、ビタミンB3を配合した商品です。
 
お茶というカテゴリーで語っていいのかどうかわからない盛りまくった商品ですが、商品レビューにも闇を感じましたのでご紹介します。
 
"I now feel calm during the apocalypse."2020/3/21
私は今、この黙示録の中にいることを穏やかだと感じている。
 
イギリス人はどんな時でもブラックジョークを口にすると聞きますが、『黙示録』=『コロナが蔓延する世界』を指しているのだと思います。
 
やはり、闇が口を開けているようなブラックな商品でした、くわばらくわばら。
 
定番商品
 
トワイニングの定番人気商品と言えば、二大巨頭のイングリッシュブレックファースト(14種類)とアールグレー(25種類)があげられます。
 
特に、アールグレーは、1831年にリチャード・トワイニングが、当時のチャールズ・グレイ首相(アールグレイ伯爵)の依頼を受けて作ったことから始まったトワイニングが世界に広めたブレンドです。(起源については諸説あるようです)
 
このアールグレー25種類の内訳をみると、企業としてのターゲットが見えてきます。
 
 
まずはお手軽ライン。ティーバッグ100個入りで£4.99(669円)。レビュー272件ですから、横綱級の人気商品です。
 
トワイニングのティーバッグにはEnvelope一般的な平たいもの)と、Pyramid三角パック)の二つがあります。廉価版はもちろんEnvelopeタイプです。
 
 
続いて高級ラインの『Discovery Collection London Strand Earl Grey』。
 
三角のティーバッグ入り。中には散茶(Loose Tea)が入っており、見た目も美しいです。
 
15個入りで£6.50(871円)、一つ当たりの単価は廉価版の約10倍ですから特別な時に楽しむお茶という位置づけでしょうか。
 
"Strand"というのは本店のある住所の地名です。「地名を商品名に入れる=看板商品」と解釈できるところから、トワイニングが自信を持つ商品であろうと推測できます。
 
 
 
上記のLoose Tea(散茶)商品もあります。100g£9.50(1,274円)。
 
最高級ラインは『Earl Grey Citrus Loose Leaf Tea Gift Box
 
100g£25(3,353円)。ふう!!強気の値段!
 
Signature Blends』というシリーズの一つです。和訳が難しいですが「署名入りブレンド」が妥当でしょうか。
 
トワイニングが誇るマスターブレンダー茶師)が世界中から集めた特別な素材を使い作り上げたお茶だそうです。
 
 
Earl Grey Citrus Loose Leaf Tea: Philippa Thacker
English Morning Loose Leaf Tea : Michael Wright
Zanzibar Chai Loose Leaf Tea   : Andrew Whittingham
 
トワイニングに所属するマスターブレンダー達が独自にブレンドした紅茶は全7種類。
 
「ロンドンに出張に行ってきたから」と、これをお土産でさらっと渡されたら、くらっとくるお茶沼界隈の人は多そうです(笑)
 
こちらのアールグレーは中国東部の安徽省産の高品質なキームンの葉に、2000m以下の低地のセイロンをブレンドし、ベルガモットの風味を加えているそうです。
 
2000m以下の低地」とわざわざ書いてしまうあたりにイギリス人のいけずを感じますが、美味しいアールグレーは正義ですからね。素直に飲んでみたいです。
 
おわりに
 
今回の世界の茶商シリーズは、間違いなく横綱級のトワイニングを取り上げました。
 
書ききれませんでしたが、トワイニングの本店ではTea Experiences(茶体験)というお茶の試飲やブレンドができる体験型のプランもあって、行ってみたいです。
 
あと、レシピのコーナーではティーバッグを使った簡単に作れるアイスティーのコーナーがどれもおいしそう!

 
全体的に感じたのは、紅茶に興味のある人、ない人、お茶にお金をかけたい人、かけたくない人、全ての人々を対象とした、間口の広い会社だということです。
 
地引網のように根こそぎからめとる、そんな商売の上手さを感じました。
 
こちらのHPも見ているだけで楽しいですよ。こんな時だからこそ、ご自宅でウィンドーショッピングをお楽しみください!