小学校三年生に上がったときクラス替えで生徒は半分以上が入れかわる。



クラス替えしてすぐの給食の時間。

今日の給食は白飯、甘めの卵焼き、キャベツの千切り何とかドレッシングがけ、プリン、そして豚汁。



メインは・・・プリンやな。最初に食べよ。



甘めの卵焼きもいい線いってるけど二番目や。プリンには勝たれへん。最後は・・・豚汁かな。


好きなモノは最初。オレの法則みたいなもんや。



いただきまぁーす。して、みんなで食べはじめた。そしたら後ろの方でいきなり



ズ、ズ、ズーと音がした。



おっ、先に豚汁か?



誰や?



何で先に豚汁なん?って聞こうおもて、パッと後ろを振り向いたら



さらっとロングストレート、目元パッチリな子が僕のナナメ後ろで豚汁すすってた。


細い手で給食の豚汁椀を持ってレフティーハンドのハシが舞っとる。



キレイやん。



思わず口が開いてもうた。出できたコトバは




「やっぱりな」




え?今、何言うたん。オレ。やっぱりな?って・・・何が?




女の子は「ん、何がなん?」と首をかしげてこっち見た。




そらそやろ。でも、あかん。後戻りできへん。




「い、いや。豚汁って先やんなぁ。やっぱり!オレも先に食べようと思ってん」




「そうなんやぁ。でも・・・今もってるのプリンやん!」




え?と手もと見たら



あ~プリン。こいつ何でいてんねん。手に!今!




「こ、これはキライやからあげよう思てな!なっ!」




そう言うオレの横には友人T。やからプリンをあげた。



そしたら友人Tが




「え?なんで?おまえプリンす・・」




「ダマレッ!!おまえがしゃべると豚汁がまずなる。ええから、プリン食べとけ!な!好きやろ?」




使えへんわ。こいつ。あのプリンちゃんをあげよう言うてるねんぞ。オレの分まで口に入れとけ!しゃべんな!



そう言って友人Tをねじ込み、女の子に




「豚汁先やんなぁ!やっぱり!」




などと改めて言った。



女の子は「うん。ウチ、ホンマはプリンが好きやねんけど、豚汁あんまり好きやないねん。やから最初。」




なに?逆かい!




「そ、そうなんや。オレも豚汁あんまりやねん。やから一緒やね!」




これはホンマ。




「プリンもおいしいよなぁ」とオレ。




「なんで?さっきキライ言うたやん」と女の子。




あ~言うたわ。しもた。んーと・・・




「キライって言うたのは、なんかオレんトコにきたプリンまずそうやなぁ、思て!普段は好きやで!」




「えっ!お前のプリンまずいん?ほんならいらんわぁ」




と友人T。




こいつ・・・わかれや!!ええかげん!ビンビン伝わるやろっ!!



しゃあない。しゃべってもうたな。



しっかりプリンで口塞いどけばいいもんを。Tよ、お前にうらみはないがここは最終手段つかわせてもらうで!




ピンっとしっかりうであげて




「せんせー、T君がうるさいです!」




そう言うと先生が友人Tに「T君しずかに食べなさい!」と言って、友人Tは「え?お前のほうがうるさいやん。なんやねん」と顔を沈めながら、ぼそっと言った。



ごめんやで。T。ホンマはこんなん嫌やねん。



おまえが悪いんちゃう。悪いのはオレと、おまえの口を塞ぎきられへんかったプリンちゃんや。



最終手段を使ってしもたから、その後、女の子と思うように話ができず前向いた。




手もとに残ったのはメインがない給食。




ごめんなぁ、プリンちゃん。



でも・・・あの豚汁をあんなにキレイに食べる子そういてへんで。苦手やのに・・・



なにもんなん。



んーーー



お姫さま?



そうや、たぶん・・・



いや、そうしか考えられへん。



豚汁界のお姫さまや!お姫さましかあんなにキレイに食べれるわけないもん!!




などと当時アホ満開の回答。結局その日から女の子は豚汁界のお姫さまになった。





                              【下】に続く・・・