父に告げたその日から勉強の日々が始まり、塾にも通った。邪魔になると思いクラブも程なく退部した。
2年間、殆ど全てを捧げてきた。唯一の例外は、今日会う約束をしているリカとの交際だけだ。
今は学校が休みなので塾の講義に参加している。
昨晩の電話で講義は午後からと伝えると「じゃあ、久しぶりに会おうよ」とリカが切り出し、都内で会うことになった。
二人とも時間には正確なので、待ち合わせの時間通りに会い
「ブラブラしようか」と僕が言い
「いいよ」と彼女が頷く。
歩きながら最近流行の音楽や面白かった本の話を聞いていると、志望校ギリギリラインと釘を刺されている僕の焦る気持ちが、和まされていくのを感じる。
話をしている内に塾の姉妹校がある通りに出た。賑やかな十字路通りには大きめの街頭テレビがあり、都心で見られる大型街頭テレビを彷彿とさせる。
角にはパチンコ屋があり、曲がって少し歩くと姉妹校がある。今日はそこで講義だ。
塾の近くで軽くご飯でも食べようよと話がきまり、探している途中でこちらを見ている一人の男が目に入った。
牛丼店の前で立っている男は感情がひしひしと伝わる眼をしている。間違いなくよく思われていないだろう。
と束の間、眼をそらし頭を振って背中を丸め、街に溶け込んでいくかのようにて歩いて行く。
「どうしたの?」目で後を追っている僕にリカが話しかけてきた。
違う言葉が出てきそうだったが「何でもないよ」と短く言い、立て看板の値段を見ながらお店を探した。