“しとしと”と雨降りな夜は、

君の好きだった歌をオーディオで流して、

君の好きだった入浴剤を入れたお風呂で温まって、

君の好きだったお砂糖いっぱいのスチームミルクを飲んで、

静かに、ひとりベッドにもぐりこむ。


静かな寝室に雨音が広がる。


この音も、君が好きだったモノの中のひとつだね。

雨の日の夜の僕は、何時までも君の思い出にしがみついていて、

君はそんな僕を、きっと『未練がましい人間だ。』って思うだろうけど、

せめて、雨の日ぐらいは、思い出の糸を辿らせて欲しい。


明日の朝になって、雨がすっかり止んだなら、

こんな弱い僕にはサヨナラするから、

せめて、今だけ。この夜だけ・・・。



“しとしと”と雨降りな夜は、

君の好きだった歌をオーディオで流して、

君の好きだった入浴剤を入れたお風呂で温まって、

君の好きだったお砂糖いっぱいのスチームミルクを飲んで、

静かに、ひとりベッドにもぐりこむ。


それは確かに、僕が好きだったものでもあるから。




迷った時は、一度しっかり地面に足着けて、

そうだな、出来れば裸足がいい。


足元しっかり見据えて、考えてみる。

焦らず、そう、決して焦らずに、考えてみる。


自分の迷ってること、悩み、苦しみ、行く先・・・。

あと、その理由。

それから、


【これから、どうすれば良いんだろう。私は、一体どうしたい?】



ゆっくり、自分に問いかける。

だけど、ネガティブにならないで。

今まで来れたんだもの。きっとこれからも行ける。


多分、直ぐには答えは出ないけれど、

とりあえずどうしたいのかが解ったら、

また、ゆっくり足の力を抜く。


軽く、「トン、トンっ。」って調子を確かめたら、次が本番。



片足でしっかりと地面を蹴る!!



そしたら、フワッ、って体は浮いて、

軽い気持ちで前に進めるよ。

優しい笑顔で、前を向いて。




さぁ、今日も歩き出そうよ。




見上げたら、青空。雲ひとつ無くて、

それは何故か逆に切ない気持ちにさせる。


特に理由も無いのに、頭上の高速道路を眺めながら、

ウォークマンでお気に入りの唄を聴いて、

何時もよりも少し、足取りはゆっくりと、

学校への道を歩いていく。


こんな日は、遅刻だって、どうってことない。

だって、気分はこんなにも素敵に切ない。


隣をクラスメイトが足早に通り過ぎる。

『おはよう。』

挨拶を交わす程度の関係。

それが、特に悲しいわけでもなくて、寧ろ、

それで良いと思うから、

なおさら時間は気にならない。


こんなにも青い空、見上げずに歩くのは勿体無い。

それはどうしようもなく、切ない気持ちにさせるけれど、

【空は青かったんだ。】って事に気づかないのは、

もっと悲しい気がして。


ウォークマンから流れてた唄が終わりを告げて、

途端、現実に引き戻された。

ケータイの時間は、授業開始時刻を15分、過ぎていた。


『さぁ、急ぐか。』


やっと、そう思って、

さっきとは違う、傍に居るだけで心地よいクラスメイトが待つ教室へ、

足早に急ぐ。


【今日は、何の話をしようかな。】


のんびりと、そんなことを考えながら。



そこで立ち止まって振り返るなら、

その先をもう見据えていて。


ここへ戻ってくる気が無いのなら、

振り返って流した涙は重すぎるよ。



僕は未だにこの一歩を踏み出すことは出来ないから、

走って、追いついて、隣に立つ、なんて、

そんな器用な事は出来やしない。



君は『過去のこと。』と口にするけれど、

それならどうして泣くんだろう。



解ってほしい。僕はそんなに強くない。



『前へ進めないなら、せめて過去を見ないで。』なんて言わないで。

出来れば、僕はここには立ってないよ。



お願いだから、もう振り向かないで。

どうぞ、先へと進んで下さい。




曇り空。 

今にも降り出しそうな雪と、にわか笑顔の隣の君。

何も変わらない毎日と、静かに変わってく明日が、

君の目に映っていた気がした。



空から舞い落ちてくる雪の精、

たぶんそれは君との別れで・・・。



あの日見た、僕らのヴィジョン。

一緒だと思ってきたのは、僕の早とちりで。

隣の君が笑顔じゃないことに、疑問すら抱いていた。

だけど、きっと、君はその少し先も見たんだね。



空から舞い落ちてくる雪の精、

たぶんそれは君との思い出・・・。



最後に渡された、鍵。

一層冷たい金属の感覚が、僕の中に深と響く。

まぶたに暖かい花びらが触れたのは、僕も君も同じだね。

『また、どこかであえるかな?』、言いかけて飲み込んだ。



空から舞い落ちてくる雪の精、

たぶんそれは最後の祝福。