私、26歳のときに捨て犬を拾ったの。
大阪では珍しい積雪の日でね。
子犬独特の鼻先の匂い、もふもふしてて可愛かった。
思いっきり死にかけてたからすぐさま拾って、看病した。
ペットショップで長く勤めてたしトリマー資格もあるしで、育てる知識やたらあるから、苦もなく。
でね、私は多分拾った日から「お母さんがいるから大丈夫やで」って抱きしめてた。
私は死にかけの子犬看病してるつもりだったけれど、今にして思えば、私は自分の中で凍りついていた「愛したい」みたいなものを、犬に看病してもらっていたんだな。
犬の名前をウメと名付けた。
でね、思いっきり端折るけど、ウメは超天才犬だった。
とにかく嗅覚の才能が半端なかった。
たくさんの犬を見てきたけど、あれは本当にすごかった。
私が一度触れた小さな石ころを、草ぼーぼーの林に投げても確実に拾ってきた。
ほんまかいなと思い、印をつけたりもしたけど間違いなく拾ってきた。ウメまぢすごい。
忠実で私のそばにぴったり張り付いて、私のことばかり見てる。私がどんな状態であれ、どんな人間であれ、私だけを愛してるんだと思ったら、ウメを見て毎回泣いた。
犬に愛されてることが嬉しくて毎回泣く飼い主って面倒くさいよね(笑)
そんなウメが妊娠した。衝撃。
どこぞの犬にやられたらしい。
お腹がみるみる大きくなる。知識あるはずの私のほうがオロオロ。
慣れない大工仕事して生む場所作ってスタンバイしたけどオロオロ。
ある日、ウメがキュンキュン鳴いて私にもたれかかってきたそのとき赤ちゃんがズルッと出てきた。
私はうぎゃっと声をあげてとっさに手の平に受けてしまった。
生暖かい。血にまみれた袋に包まれた赤ちゃん。
ウメと同じ模様!
すごい!
でもどーしたらいいのよこの状況!
と思ったら、ウメが手に顔を近づけてきて、前歯で器用に袋を破り始めた。
で、袋とかへその緒とか食べちゃった。
私の手の平に乗せたまんまペロペロ舐めてきれいにしちゃった。
赤ちゃんは手の平の上でコロコロ転がりながら舐められてた。
つづく