今年の5月の中頃ぐらいやったかな。
私は大きく崩れた。
母を切り、娘とも疎遠にし、長男にも誤解が生じた。
それは保護猫活動で長男が勤める現夫の会社で起きたことだった。
捕獲猫活動は現夫から依頼されてのことだったから、私は、社員の方々にはその事実を共有してと言ってあったが、それはなされていなかった。
私は絶賛、猫の捕獲中だったため、長男に「なんでおんねん」と言われたことに対応できず、無視をしたような形になってしまった。
長男は露骨に嫌な顔をして、それ以降話しかけても目も合わせてくれなくなってしまった。
推測でしかないけど、祖母や姉を切る母親だから、と思われたのかもしれない。でも私にはそんな意図はなかった。
でも無事、猫は1匹捕獲できてTNRは終えられた。
だから私は現夫にお願いをした。
「お手数をおかけするけど、長男に、無視したわけではない、捕獲中だったからだと伝えてほしい」と。
「父が亡くなったばかりで、今、このようにどんどんと深く関わって愛してきた人との縁が切れていく中で、長男との関係まで些細な誤解で切れるのは今の私には耐えられないから」と、理由も話した。
「わかった」と答えた夫がそれを伝えていないことがわかったのは、しばらく経ってからだった。
「伝えてくれた?」と聞いたら
「猫を捕獲したと伝えた」と言う。
私は混乱した。
「長男に、それだけを言ったの?」
と私は理解が追いつかずに質問した。
「いや、社員たちに、猫を捕獲したと言った。長男は後ろにはいたかもしれない。
社長がacnの息子だけ特別に扱うわけにはいかないから」
私は固まった。
「社員さんたちには、私たちが押しかけできているのではない、と共有されてるんよね?」
と聞いたら
「少し」という返事が返ってきた。
そして私は壊れた。
だって時間をかけて捕獲したのは私だったからだ。
長男との誤解を解きたいからと理由まで説明し頼んだからだ。
「俺が間に入って仲裁しようか?」と現夫は言った。
「それを頼んだのが、こないだだよ」と答えた。
次の日の夕方、親子のことは親子で解決すべきだったと私は改めて3度目の試みで長男に声をかけたが、臭いものでも見るかのような態度で手で追い払われ話すことなく終わった。
私は家で泣いた。
床に座り込んで。
大好きだった祖母の死すら伝えられず、父の見舞いも看取りからも、家族構成からも排除され、母を切り、娘と疎遠にし、長男もまた、と思うと胸が張り裂けそうだった。
次男とも同じ家にいて、もう4ヶ月話してない。
私は一体、何なのだ、と思った。
確かに生んだ。そして育てた。愛した。
下手くそで何もかもわかっていなかった。
でも愛した。
何もかも手探りで、それでも育て上げなければ、食べていかねば、生きていかねばと脱出して生き延びてきたこれまでの25年はなんだったのか。
そう思ったら、涙が止まらなくなって床に座って大声で泣いた。
とても孤独だと感じた。
だから「孤独や」と声に出した。
私には泣きながらその言葉を口にするだけで精一杯だった。
現夫は横に立ち、言った。
「俺がおるのに孤独とか言われて、俺がショックや」と苦々しく言った。
30代の時に性的虐待の記憶が蘇ったことを迷いながら母に話した時の母の第一声は
「私の人生なんやったん!」だった。
その姿と被った。
どちらにも「私」がいない、と思った。
私は絞り出すような声で言った。
「今、悲しくてたまらなくて泣きながら孤独だと口にした私が、あなたの孤独のショックに対応しなければならないのか」と。
現夫は全く意味がわからない様子だった。
私は壊れた。
「悲しい」と声に出そうとしたら、声が狼の遠吠えみたいな声しか出なくなった。
声の調整ができない。
懸命に調整しようとしたけれど、言葉が発せられない。
遠吠えみたいな、ヴォーというくぐもった雄叫びしか出ない。
「悲しい」が言えなくなった。
私は床にうずくまり遠吠えのまま泣いた。
悲しいのに「悲しい」という言葉すら言えないことも悲しかった。
食欲もなく、3日ぐらい寝込んだ。
起き上がることが難しかった。
くたばる喜びまで待てないな、という気持ちだった。
もう会社への餌やりや捕獲に行くのもやめた。
もう何も考えたくなかったから。
今も夫婦してるよ。
でも私の中には、大きな大きな鉛がある。
それが重くて不快でたまらない。
「私」がいつもいなくなってしまう現象に、もう飽き飽きしている。
そこに身を置く自分にも。
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