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アンダー・ザ・雨降るホームの屋根

冷たい水で顔を洗っても今日はちっとも目が覚めなかったから、寝ぼけ眼でワックスを手に取った。
わざわざ屈んで鏡を見るのが不思議とすごく億劫だったから、目を瞑ってめちゃくちゃに髪を掻き上げた。

シトラスの微香を纏ってフワリとセットされた髪。
いつもよりうまく行った気がする。

力を入れる必要なんてないんだ。
そう言われた気がした。

いつか買ったヘアスプレーを浴びて、ガラガラの電車で都会に出よう。

行儀はちょっと悪いけど、足を少し投げ出して。

改めて鏡を見たら、懐かしい僕の顔が写っていた。

眼の下のクマは気になるけれど、窓の向こうがボンヤリして楽しい。

雨降るホームの屋根の下で。

僕はこんなことを考えているよ。

弱さと甘え

書けない。
書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない書けない。

あぁ……。
消せない。

消したくない。
ただ消えたい。

言えない。
誰にも言えない。

書くしかないのに書けない。
“書けない書けない書けない書けない”

あぁ……。
消せない。

セイシンアンテイ

魔法の呪文を唱えよう。


気持ちが落ち着く不思議な呪文。


無い袖を振れば心は錦。


持ってた宝は質流れ。


魔法の呪文を唱えよう。


オゴリタカブリジガジサン。


仕掛けのバレた古い呪文。


誰もが蔑む弱い呪文。


オゴリタカブリジガジサン。


セキニンテンカフワライドウ。


ムキリョクボウソウヤツアタリ。


魔法の効果はもう切れた。