3回目、とりあえず今回でおしまいです。
痛いの痛いの飛んで行けと撫でさする理由。
あなたの大事な人が、あなたに手を振って、あなたの名前を呼びながら、走ってきます。
あなたも、負けずに手を振って、「おーい」と走り始めます。
突然、相手が転んでしまいました。
あわてて駆け寄るあなた。
「痛いよ~」と言っています。
膝かすねをぶつけたみたい。

さて、
あなたはどうしますか?
その1
大丈夫だよ、痛くない痛くない、痛いの痛いの飛んで行け
といって撫で、さすってあげます。
その2
「そうか、打撲か擦過創だ。皮膚の受容器からの信号が感覚神経を伝わり脊髄後角で1回シナプスして脊髄を上行し、大脳皮質皮質感覚野で痛覚として認識されて疼痛を生起している。」
と説明する。
はい、
その1はあなたがやるであろうこと。
その2は相手の脳がやっていることです。
不思議なことに、その1をやると痛みは和らぐようです。
何らかの効果があると言うことですね。
全然無効だったら、
だれも撫でさすりなんかしないでしょう。
あなたもすねをぶつけて、
痛いところをこすりながら、ピョンピョンしたりはしないでしょう。
なぜ痛みが和らぐのでしょう。
愛の力? 優しさ? 天国言葉?
正解です。おしまい。
ということではなさそうです。
不正解とは言えませんが、正解ではない。
正解を書くのは、無粋なのですが、敢えて書くことにします。
脳は誤魔化されるんだな、という話になります。
痛みの情報はその2のように脳に伝わって、
痛みとして認識されますが、
痛いの痛いの飛んで行け と痛いところのまわりをさすると何が起こるのでしょう。
我々の身体には、痛み以外の様々なセンサーが配置されています。
熱い冷たいの温・冷覚センサー。
触られたりすると、その圧力や、方向、皮膚の変形ぐあいを感じるセンサーなど、
沢山配置されています。
大丈夫だよ、
とさすってあげると
そうした様々なセンサーに信号が入ります。
センサーからの沢山の情報は、
痛みの信号と同じように、
感覚神経を伝わって、
一挙に脊髄の入り口に押し寄せます。
ここは、たまたま痛みの信号も使用する入り口でした。
1つの痛み信号は、
さすったことで生じる信号の波に飲み込まれてしまいます。
別の言い方をすれば薄まってしまう……
沢山の情報は脳の皮質感覚野に到達して、
痛み << 皮膚からの情報いっぱい
として感じられます。
脳はよく出来ていますが、
一度に感じることの出来る感情は1つだけです。
痛みは群衆に翻弄されることになり、
いつのまにか存在の影が薄くなってしまうと言うわけです。
撫でさすりは、
とても有効な行いだということですね。
結論:
愛だよ、優しさだよ、思いやりの天国言葉だよ。
こっちの方が、夢がありますね。

*学問的には、
真偽のほどはさておき、メルザック&ウォールの「ゲートコントロール説」といいます。
** 痛みはなぜ存在するのか、考えて見てください。




