つい先日、元特許庁審査官の弁理士(以下、T先生)が、分割出願のクレームと明細書についてというタイトルでブログ記事を書かれていましたが、実は、同じことを私も仲間の弁理士とディスカッションしたことがあります。

私だったらどうするかですが、T先生の記事で分類されているところの「分割出願3」の対応をします。

具体的には、【発明を実施するための形態】の最初又は末尾あたりに、「本明細書は、以下の発明をも開示している。」と書き、それに続いて親出願のクレームを原則そのまま明細書に転記します(さすがに「請求項1」は「[1]」等に修正しますが)。


なぜそんなことをするか。

T先生もおっしゃっているように、親出願の出願当初の内容全体について遡及効を得るためです。すなわち、分割出願について補正の範囲を最大限確保するためです。


いや、親出願クレームに記載されている事項は、基本的に明細書に記載されているのだから、わざわざ転記しなくても遡及項は得られるんじゃないの?

確かに基本的にはそうですが、クレームにのみ記載されている事項が本当に皆無かといえば、そうでもないと思っています。

例えば、引用形式のクレームになっていれば、各構成要件を組み合わせることが明示的に記載されていると言えます(意見書で補正の根拠が書きやすい)。もちろん、特に外内ケースあたりでは、クレームにしか記載されていない事項が実際にあったりします。


私は、前の事務所で初めて分割出願をするとき、上司に「親クレームは明細書にコピペしておけよ。やらないと後で困ることが極稀にあるから。」と言われ、その理由が理に叶っていたので、コピペしなかったことがないと思います。

でも、色々話を聞いてみると、このような実務は一般的ではないようで、驚かれることもあります。

私としては、そっちの方が驚いたり。


ちなみに、T先生の記事に記載されている「分割出願2」の方法でも、得られる効果は同じです。ただ、後で自発補正をする必要がありますし、その手続きの費用を請求するとなると、最初から明細書に転記した方がベターかなと個人的には思っています。

いろいろな実務がありますね。


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