「今はお金がないから費用をお支払いできませんが、ライセンス料を稼げるようになれば、ライセンス料の○○%という成功報酬型で費用をお支払いしますので、お願いできませんか?」
こんな感じの依頼がたまにあります。なお、ご依頼の内容としては、特許権取得であったり、ライセンス契約サポートであったり、ライセンス先の開拓&交渉であったり(←これはそもそも能力的に無理ですが)、そんなところです。
でも、このようなご依頼は、基本的にお引き受けすることはできません。
色々な理由があるのですが、私が考える最大の理由は...
そのお客さまと将来に亘って良好な関係を維持することが困難と考えられるから
私としては特段の持ち出しはなく、強いて挙げれば労働力だけですので、将来のリターンを期待して、お客さまが求めているサービスを無料で提供する先行投資も悪い話ではないです。
でも、やっぱり心の底では、「向こうには失敗のリスクがないじゃない。なんでこっちが失敗のリスクを全て負わなきゃいけないのだろう。」と思ってしまいます。そして、実際にライセンス交渉が失敗したときなどは、「そもそも本気で稼ごうと思っていたのか。」とお客さまのことを悪く思ってしまう可能性が高そうです。
逆に、大成功した(例えば毎年何百万円ものライセンス料を稼げるようになった)ときのことを考えますと、お客さまは「もう何年も前にたった1件の契約書を作ってもらっただけなのに、なんで毎年○○万円も支払わなきゃいけないんだ~」と思うはずです。
要するに、中途半端に成功して、結果的に「成功報酬総額≒本来のサービス価格」にならない限り、どちらかが不満を持つことになります(口に出すかは別にして)。もちろん契約時点ではお互い納得しているのだと思いますが、時間が経って事業の状況や外部環境が変わってくれば、気持ちも変わってくるように思います。
私としては、これは避けたい。
実は、だいぶ前になりますが、一度だけそういうご依頼をお引き受けしたことがあります(というか「お金がない」という話になったので、こちらから提案しました)。
でも、色々考えた上で実際の契約を結ぶ前に解消させて頂き、それまでに提供したサービス費用については、少々割引をした上で分割払いという形でお支払い頂きました。
先日もこの手のご依頼がありましたが、費用に関する部分についてはお断りさせて頂き、代わりの方法をご提案しました。
これがお互いにとってベターな選択だと信じています。