先日、とある中小企業のお客様から連絡が入りました。
客:Bのみでお願いします
私:えっ...
これじゃ、全然分からないですね。
昨年、このお客様から特許出願のご依頼を頂きました。Bの特許権を取りたいとのことでした。とても斬新な話で、そんなことを誰も考えてなさそうでしたので、特許権を取ることはそれほど難しくないと直感しました。
で、私は、BだけでなくA(B製品の部品のようなものだと思ってください)の特許権を取れる可能性もありそうだと思いましたので、Aについてもチャレンジしてみることを提案しました。Aの事業をやる予定はないとのことでしたが、結局AとBの両方の特許権取得を目指して特許出願をし、審査請求(早期審査を利用)もしました。
その後、一回目の拒絶理由通知。AはNG、BはOKでしたが、審査官面接をして拒絶解消の心証を得た上で、意見書で真っ向から反論しました。
そして、特許査定...と思いきや、二回目の拒絶理由通知。違う引例でAは再度NG。ただ、Aの下位概念であるA1はOKでした。Bは当然OKです。
その引例に対して真っ向から反論するのは難しい感じでした。ただ、Bに重要なのはA全体でなく実はA1ですので、これでBに関する権利はしっかり確保できたと判断し、A1とBに限定して特許にしましょうと提案しました。
それに対するお客様の回答が冒頭です。
Bだけだったら、一回目の拒絶理由通知の段階でOKだったので、結果的に、審査官面接&意見書での反論をしなくてよかったということになります。
また、結果論にはなりますが、Aの特許権取得を目指さなければ一発特許査定だった(結局、特許権の範囲は同じ)ことになります。
もちろん、拒絶理由通知への対応には手数料を頂きます。事務所的には、その分の売上が上がってよかったと言えるのかもしれません。
でも、Aの特許権取得を目指す提案をしたことは、お客様にとって本当に意味があったのだろうかと思うと、悩んでしまいます。
失敗だった?