ある商標を登録したいと思って出願したけど、似たような登録商標が既にあったときには、登録を受けることができません。条文で言うと、4条1項11号ですね。


では、もし4条1項11号違反の拒絶理由通知が届いたとき、どう対応するか。



弁理士試験的にパッと挙がるのは、


(1)登録異議申立・無効審判請求・取消審判請求
(2)先行登録商標の譲渡交渉
(3)拒絶理由のない指定商品・役務への減縮補正


だと思います。問題文に「両商標は類似」と明示されていることが多いので、それを前提として(1)~(3)を検討しますね。これはこれで「試験的には」正しいです。



でも、あくまでも私の感覚ですが、実務上(1)~(3)の対応を採る可能性は低いと思います。


(1)は、そのような理由が存在するかという問題がありますし、こちらが既に商標を使っている場合には逆に相手から反撃されるリスクも高まります。(2)でも、もし相手が登録商標を使用しているとしたら、本当に譲渡してくれるのか甚だ疑問です。


仮にそこをクリアできたとしても、費用の問題もあります。ざっくり言って、数十万円~百万円近くかかります。商標登録をする費用(大体15万円)ですら「高い」という感覚を持っているお客様が多いのに、数十万円といった費用を使ってまでその商標に固執するケースは多くないと思います。


(3)は、当初計画のうち拒絶理由のない商品・役務に「だけ」その商標を使うのかという問題があります。もともと指定した全ての商品・役務に同じ商標を使おうと思って出願したのですから、一部の商品・役務に使えないなら、いっそのこと全てを別の商標に変えようという話になる可能性も高いと思います。そうなると、減縮補正をしてまで登録を受ける意味がなくなってきます。



ということで、実際には、


(4)意見書で両商標は非類似と反論
(5)断念して別の商標にする


を中心に検討することになると思います。



まさに弁理士試験(理論)と実務(現実)のギャップですね。ここら辺が、資格を持っているだけでは良い仕事はできないと言われるところでしょうか。


年明け早々、専門的な話題で失礼しました。