先日、初めてのお客様からお問合せが入りました。
ロゴの候補が幾つかあって希望順位はあるんだけど、決定したロゴは確実に商標登録したい(そうしなければならない事情があるようです)ので、第一候補から一つずつ順番に調査をして、商標登録可能なロゴに決定したい。ついては、1件あたりの調査費用の見積りが欲しい。
とのことでした。
いろいろ話を伺っていると、弊所より前に、別の事務所から調査費用の見積りを受け取っているようでした。簡単に言うと、アイミツが欲しかったようです。
でも、私は、調査費用の見積りを出しませんでした。なぜか。
アイミツを嫌った...というより、(お金をかけてまで)調査をすべきではないと判断したからです。
商標登録出願をすると1~2ヶ月程度で公開されますので、1~2ヶ月前までに出願された商標の存在は調査で把握できます。しかし、ごく最近に出願された商標の存在は把握できません。でも、その間に似ているロゴを出願されてしまっていたら、商標登録できないことになります。
また、ロゴの場合は図形商標になりますので、先行する商標と似ているか否かの判断が、文字商標に比べて難しい場合があります。特許庁でも人間(審査官)が判断しますので、それを他人(弁理士)が確実に先読みすることは容易ではありません。
要するに、調査をしても「確実に商標登録できる」という結論は出ないんです(「確実に商標登録できない」はありえますけどね)。
そのことをご説明し、私は、特許庁に調査をしてもらう感覚で候補に挙がっているロゴを「全て」出願し、4~6ヶ月待って登録査定が届いたものの中から、ロゴを決定するのが得策だと申し上げました。それなら商標登録されることが確実ですからね。
そして、今のロゴ候補を全て同時に出願する費用(もちろん簡易的な調査はやります)と、そのうち1件だけを登録する費用の見積りを出しました。たぶん、総額で言えばそんなに変わらないと思います。
そのお客様が最終的にどう判断されるかは分かりませんが、私としては最善の提案をしたと思っています。さて、結末はどうなるでしょうね。