ブログを読んでいるとおっしゃっていたので、ちょっと書きにくいのですが...



先日、新規のお客様(個人)からお問合せが入りました。急ぎでPCT出願をしたいとのこと。


弊所にお問合せ頂く前に、この件を別の特許事務所に見積りを依頼したら、ビックリするような高額な見積りが届いたので、弊所の見積りが欲しいとのことでした。



見積額を聞いてみると、特許事務所としては常識的な額でしたので、PCT出願だとオフィシャルフィーが高いことを含め、通常の出願より高額になる理由をお話し、弊所の見積りでも大きくは安くならない旨をお伝えしました。


さらに、各国の国内段階に移行するときに想定される費用をご理解頂いていないようでしたので、それについても説明しました。当然ですが、その額にビックリされていました。



その日はそれで終わったのですが、後日、それでもいいからPCT出願したいので見積りが欲しいという話になり、ご自身で準備されている書類や関連資料を送って頂きました。


で、それらを拝見したところ...既に新規性がありません。詳しくは言えませんが、フォローもできない状態でした。


結局、そのことをご説明し、少なくとも現時点で考えていたPCT出願は諦め、何か別の形で権利取得を目指せないか検討するために、近いうちに詳細な打合せをすることになりました。



私が何を言いたいか...



このお客様は、知的財産に関してかなり高いレベルの知識をお持ちでした(私がこれまでお会いした中小企業や個人の方の中でダントツトップです。)が、それでも十分ではありません。専門家でない以上当然なのであって、そういうお客様が不利益を被らないようにサポートするのが特許事務所(弁理士)の役割だと思っています。


特許事務所としては、PCT出願をすれば儲かりますし、新規性がなくて権利化できなくても何の責任も問われません。お客様が折角PCT出願する気になっているのだから、そのまま引き受ければいいという考え方もあると思います。


実際に、弊所より前に見積りを出した特許事務所は、見積書を作成して提示しただけで何の説明もしなかったようです。パッと見で新規性がないことが分かる状況だったのですが、それにも気付かないということは、資料に目を通していないのでしょう。


「原稿はあるし急ぎで出すだけのおいしい仕事だ~」と思っていたのでしょうか?それとも逆に、「個人の仕事なんて面倒だな~」とでも思っていたのでしょうか?



私にはできません。