先日、実用新案について2回ほど記事を書きました(こちら
とこちら
)。
要するに、実用新案登録出願は、無審査で登録はされるものの、費用も他社牽制的な効果も「審査請求をしない特許出願」と同じレベルであり、実際には権利行使をするのは難しいので、広告宣伝効果を狙った例外的なケースを除いてお勧めしないという内容でした。
しかし、その私の考察は少々浅かったかもしれません。意外や意外、実用新案による他社牽制効果は結構大きいかもしれません。
SK特許業務法人
のパートナー弁理士である伊藤寛之先生が、ご自身のブログ(SK特許業務法人 特許実務メモ
)で、実用新案の怖さについて4回にわたって記事にされていますので、詳細は下記のリンクから直接記事をご覧下さい(伊藤先生には本ブログでこれらの記事を紹介させて頂くことを快く許可して頂きました。ありがとうございました。)。
(1)恐怖の実用新案
(2)Re: 実案は恐れるに足りず?
(3)もっと恐怖な外国企業の実用新案
(4)もっと恐怖な外国企業の実用新案 補足
要するに、「実用新案法第29条の3の規定が存在する以上、実用新案権者は権利行使を躊躇するので、実用新案権は恐れるに足りない」という考え方は、特に外国企業が権利を持っているときには脆くも崩れ去っています。
特に、実用新案法第29条の3の規定は、あくまでも権利の濫用を防ぐためのものなので、仮に否定的な評価書を持って警告をしていたとしても必ずしも損害賠償責任を負うとは限らない点、仮に損害賠償責任を負い実際に損害賠償を勝ち取ったとしても損害賠償金は取れない可能性もある点は、目から鱗が落ちた気がしました。
現実には、ここまで深く検討できる企業がどこまであるかは微妙な感じもします。でも、最近ではコンプライアンスが重視されていること、ほんの小さなリスクでも事業の命取りになる可能性があることを考慮すると、少なくともそのリスクを我々弁理士はしっかり理解しておかなければいけませんね。
逆に言うと、伊藤先生もご指摘のとおり、進歩性あたりが微妙で特許を取れるかどうか微妙な案件については、実用新案で確実に「権利」という形にしておく手もありそうです。
もちろん権利行使の段階になれば、実用新案法第29条の3の規定がやっかいであることは確かですが、どうしてもという状況であれば頑張ってみればいいと思いますし、他社牽制効果は思った以上に大きいかもしれません。
さすが経験も知識も豊富な伊藤先生だけあって、深い考察です。それに対し、法律の規定やその名目上の効果にばかり目を奪われて、それが適用になったときに想定される現実を想像できなかった自分が恥ずかしくてなりません。
実は、どうも伊藤先生は弊ブログの記事で刺激されてこれらの記事を書かれたそうです。いや~お恥ずかしい限りで...何だかハッと気付かせて頂きました。ありがとうございました。