昨日は、埼玉から東京に行く間に2回も降りる駅を乗り過ごしてしまうし、喫茶店で軽く夕食でもと思ったら財布を忘れたことに気付くし(何とか小銭でサンドイッチとコーヒーを口にしました)、大きな問題にはならなかったものの、何だか散々な一日でした。


ただ、昨日、新規の実用新案登録出願のご依頼を頂戴することができました。あと、昨日の夕食がサンドイッチとコーヒーのみだったことはダイエットに効果的だったらしく、今朝体重計に乗ったら、前日より1.1kgも落ちてました。やっぱりダイエットには食事制限が一番なんですね。


そういった意味では、悪いことだけでなく良いことも結構あって、全体としては釣り合いが取れているのかな?逆に、お仕事がもらえるなら、いくらでも電車で乗り過ごしますし、財布だって忘れたって構わない...そうはいかないんですよね。



ところで、ちょっと真面目な話しになりますが、実用新案って使い方が難しいですよね。私の事務所では、通常は、実用新案の話が来ても、それを止めて特許にすることをお勧めしています。



条文の文言上、特許法でいう「発明」は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」であるのに対し、実用新案法でいう「考案」は「自然法則を利用した技術的思想の創作」であり、「高度のもの」の要件がありません。条文の文言では、進歩性のハードルも実用新案の方が低いことになっています。こんな状況から、実用新案法の保護対象を「小発明」なんて言うこともあります。


しかし、実務上は、その差はないと言われています。



それより、実用新案権を持っていても、権利行使をする際には評価書を提示した警告をしなければいけませんし、侵害者の過失は推定されませんし、仮に権利行使した後に無効理由等があることが判明すると逆に損害賠償の責任が生じてしまいます。


逆の立場からすれば、実用新案権なんて怖くないんです。特許権を取る自信がないから実用新案権にしたんだろうし、権利行使なんてしてくるはずがないという印象を持つでしょう。結局、牽制効果も限定的です。


これは、実用新案法では無審査登録主義を採用しているから仕方ないと言えばそうなんですが、使いにくいったらありません。



費用的には、少なくとも弊所では特許出願と実用新案登録出願の手数料の額に差はありませんし、出願のオフィシャルフィーは実用新案の方が1000円だけ安いですが、3年分の登録料を払わなければならないので、初期費用はむしろ高くなります。


また、仮に、どうしても権利行使をしなければならなくなったとき、評価書を取ったら否定的な内容だったときに訂正が原則として1回しか認められないことを考慮すると、評価書を取らずに実用新案登録に基づく特許出願をすることを選択する気がします。そうであれば、出願から3年以内に決めなければいけないことになるので、特許出願をしてから出願審査の請求をせずにギリギリまで様子を見ているのと同じです。


牽制効果という意味であれば、「実用新案登録第○○○○○○○○号」でも「特許出願中」でも同程度と考えられます。



すなわち、実用新案登録出願をすれば無審査ですぐに登録されますが、結局のところ「出願審査の請求をしない特許出願」と費用的にも効果的にも同じレベルであり、実際に権利行使に進む可能性を考慮しますと、特許出願の方がフレキシビリティが高いことになります。



ということで、私の事務所では、原則として、実用新案登録出願ではなく特許出願をするようにお勧めしています。

ただ、今回は、上記のとおり実用新案登録出願をすることにしました。もちろん、事前の打ち合わせをした上での方針です。それを含めて、実用新案登録出願の使い方を明日書きたいと思います。