受験生の皆さん、論文試験まであと2週間ほどになりました。最後の調整として趣旨や判例の細かいキーワードを頭に叩き込んでいる方も多いのではないでしょうか?
それはそれで良いと思うんですが、忘れないで欲しいことがあります。論文試験は、上位25%程度に入れば合格できる相対評価の試験であるということです。
制度趣旨が問われれば、できる限り青本の記載を忠実に再現することになりますので、「原則~しかし~そこで~」の流れと、特に「しかし」の部分のキーワード(数を含めて)を覚えていなければ、話になりません。判例も似たような感じです。
でも、実は、レアな制度趣旨や判例を覚えなくても何とかなるんです(もちろん有名どころは押さえておく必要があります)。なぜかと言えば、レアどころが出題されても殆どの受験生が書けないからです。論文試験で制度趣旨や判例「だけ」が問われることはまずありません。ハッキリ言って制度趣旨や判例で勝負は決まりません。
私は一端の受験指導者という立場で相当数の論文答案を見てきましたが、勝負は基本的な事項が書けたか否かで決まります。私のゼミに所属したメンバーでこれができていた方は、これまで当たり前のように合格しています。
例えば、
・例外を検討する際には必ず原則を前置きする(判例を書くときは先に問題点を指摘する)
・措置を挙げるときは、なぜその措置をとるべきか理由を書いた上で、その措置の要件を検討(あてはめ)する
・順番のある事項(補正→分割、否認→抗弁、直接侵害→間接侵害、文言侵害→均等論、1号間接→2号間接、先使用→先出願など)は、順番どおりに検討する
・要件のあてはめでは、いきなり結論を書くのではなく、問題文に記載されている条件をそのまま使って結論を導き出す過程を書く
ことはできていますか?
そんなの当然だよ~って声が聞こえてきそうですが、少なくとも模試等で受験生が書いた論文答案を読んでいる限り、これができる方は非常に少ないんです。逆にこれができれば、他の難しい部分で失敗しても安定して合格点が取れるはずです。
誤解を恐れずに言えば、皆さん短答試験を合格された方なのですから、論文試験としての知識は既に合格レベルにあるんです。あとは、問題文の事例においてその知識を適用できるかがポイントなんです。
ということで、何かグダグダな内容になってしまいましたが、この時期こそ、細かい知識の補充をするのではなく、これまでの答練会や模試を徹底的に復習して、基本的な事項をしっかり書けるように勉強するのがベターだと思います。