我が事務所では、特許翻訳を請け負っています。とは言っても、今は、以前に勤めていた特許事務所から外注という形で依頼を頂いているだけです。仕事が少ない現状では、本当に助かっています。
私は、前の特許事務所で外国クライアントの案件や外国出願の案件をバリバリやっていて、翻訳を「外注していた」立場でした。そして、プロの翻訳業者(そして、そこに登録している個人の翻訳者)が上げてきた翻訳をチェックして、「全然ダメだな~」なんて愚痴をこぼしながら修正していました。
でも、実は、私の英語の能力はそれほど高くありません。昨今TOEIC800点以上とか900点以上なんて方は沢山いる中、私は、お恥ずかしいながら、もう10年以上も前に一度だけ730点を取ったことがあるくらいで、当時でも概ね600点台でしたし、最近は受験すらしていません...おいおいココまで公開していいのか~(^^ゞ
英語を仕事にする程の能力がある方の翻訳を、英語の苦手な私がチェックしている光景...なんか奇妙ですよね。
要するに、簡単に言うと「押さえるところが違う」んです。英語としての表現がいかに良くても、クレームや明細書として有効に機能しなければ、何の意味もありません。
一つだけ例を挙げると、日本語で「…の1つ又は2つ以上」と書いてあったところを、ある翻訳者が"at least one of ..."と訳してきたことがありました。英語としてはスッキリしますよね。でも、私は、これはダメだと考えています。なぜか。
「…の1つ又は2つ以上」と書いてある理由は、将来、「…の1つ」とか「…の2つ以上」とかに補正する可能性を残すためなんです。それを"at least one of ..."とした場合、"one of ..."には補正できると思いますが、"two or more of ..."に補正することはできない可能性が高いです。
なので、英語としては奇妙な表現であっても、"one (of ...) or two or more of ..."のように忠実に翻訳すべきと考えています。そもそも、もとの日本語の「…の1つ又は2つ以上」という表現だってよく考えたら奇妙なんですから、これで良いんです。
ちょっと話が脱線しすぎて、翻訳作業が大変だったことを書く前に大分長くなってしまいましたので、実際の翻訳作業については別の記事でということで。
こんな感じで我が事務所では特許翻訳を請け負っていますので、ご興味のある方はひので総合特許事務所 までお問合せ下さい。もしかしたら、こっちが本来業務になってしまうかも...