最近、電話等でお客様から直接依頼を頂くことが多くなってきました。


「明日までに特許出願したいのですが、対応して頂けますか?」
「特許出願したいので、発明者からヒアリングして明細書を一から書いて下さい。」
「弊社の社内会議に出席して頂き、専門家の立場からコメントをして欲しいのですが...」
「鑑定をお願いします。」



内容的には特にイレギュラーな依頼でもないのですが、通常、このような依頼は事務所宛に届き、所長や部長が技術分野や仕事の混み具合を考慮して担当者を決定します。


でも、お客様から直接依頼されると、そうはいきません。もちろん、明確に指名されている訳ではないのですが、お客様は、依頼窓口でもない私に直接依頼してきていますので、事実上、私が担当するか、別の者に振ったとしても私が管理(チェック)することを期待していると考えられます。


最近はそういう案件が手元に沢山あり、自動的に入ってきてしまう中間処理の案件と併せて、いっぱいいっぱいな状態です。通常ルートで事務所宛に届いた案件を私が担当することは少ないのが現状です。


それを見透かしたかのように、また直接電話がかかってきます...ちょっとオーバーかもしれませんが、最近はこの繰り返しです。



もしかしたら、これは特許事務所の業務形態が変わる前兆なのかなと考えています。


企業側は、知的財産戦略を「量」から「質」へ少しずつシフトさせていて、弁理士が急速に増えていることも相俟って、企業側が弁理士を選択する(囲い込む)ようになっているのかもしれません。そして、それに対応するため、我々弁理士(特許事務所)も変わらなければならないときが近づいているという感じがします。単なる「代書屋」として弁理士を使う時代は終わり、もっともっとハイレベルな仕事ができる弁理士でないと、近い将来、この世界で生きていけないかもしれません。



私が特許事務所の開業を決心した理由の一つは、そこにあります。現在勤務している特許事務所は結構大きく、仕事の数もソコソコあって安定感はあるのですが、どうしても「ぬるま湯」に浸かっている感じになっていて、自分を磨くことを忘れがちになってしまいます。気付いたら「手遅れ」になっているかもしれません。


そこで、「ぬるま湯」から上がり、厳しい業界の中で精進していきたいと考えるようになりました。自分が変わるためには、多少のリスクは仕方ないと思っています。



新しい事務所でも、早く上記のような依頼が頂けるようになりたいものです。