何回か手に入れる機会はありましたがー
ちょっとそれは(飾るのに)大きいとか・・・
そんな高いのはいらん(かけられない)とか・・・
配置が(なんとなく)きにいらないとか・・・
人工だから(主義的に)持つべきでないとか・・・
これも結局持っていそうで、
もっていなかったシリーズですね。
今回はちょうどいいのがあったので、
いるか?と考えつつも手に入れました。|д゚)チラッ
山梨県の水晶トッコ(人造トッコ)です。
モルタルに水晶と黄鉄鉱が埋めてあります。
水晶はもちろん本物ですが、
これは人造のクラスター標本です。
トッコとはクラスター標本や母岩付き標本の意味になります。
古い鉱山用語では群晶のことを「トッコ=突鉱」と呼びました。
隙間は砂で自然に見えるよう化粧がしてあります。
水晶は角閃石と緑泥石入りなので、
これは水晶峠の水晶を使っているっぽいです。
人造トッコはかつて昭和の時代に、
甲府地方の山梨土産として作られていた民芸品です。
これの底には筆の文字で、
「昭和十五年四月二十五日」
1940年に製造ということでしょうか。
こちらは戦前標本ということになります。
国産の鉱物標本全般にいえることですが、
戦前より前の標本は証拠も含めて数が少ないです。
明治~大正時代と伝わる標本はぼちぼちありますが、
昭和初期とわかる鉱物標本は実はあまり見かけません。
戦後も人造トッコは作られており、
他にはバッタリや乙女や八幡の水晶も使われていたようです。
もとは山梨の一般向けのお土産です。
もちろん鉱物マニア向けではありませんが、
一周回って鉱物マニア向けになりました。
いつ誰が買ってきて、
どうやってうちまできたのでしょうか?
この水晶の置き物。
知らなければ84年も前に作られたものとは思えない。
底に消えない文字で書いてあるから、
その時代のものとわかるのです。
石は特に水晶類は経年劣化はしません。
普通に管理していれば、
何十年でも何百年でもそのままの状態です。
当たり前にはなっていますが、
これは石にしかない特殊能力です。
世の中に出回っている石の殆どは、
何時代の何年に出たものかは書いてありません。
後の時代になる(時代が進む)ほど、
過去の標本の情報は失われていきます。
難しいですが本当は標本の採集年くらいは、
記録してあったほうが理想ではあります。
ずっとあとの人間達にとって、
そのほうが価値ある標本になります。(。-ω-)zzz. . .