米澤穂信さんの「Iの悲劇」、人が住まなくなって廃れてしまった集落へ再び人を呼び定住させ再興させようと試みる自治体職員が主人公、ところが・・という、Iとは俗に言うIターンのことで、今でも全国のいわゆる過疎化が進む地域を持つ自治体では取り組まれてるんでしょうしそこで働く人たちにはリアルな設定なんでしょうか。


へーと思って読み進めるもなんか?と次第になる、全く見知らぬ土地に互いに見知らぬ家族が集められたら色々あるんでしょうけど、その色々があまりにも次々に起こり過ぎるのと、あとは対応する自治体職員、つまりはこの物語の主人公、も良い人でシンプルにそつなく一生懸命に仕事に向き合っているけどここは愛すべき癖アリのユーモラスなキャラクターだったらなぁと思った、例えば奥田英朗さんの伊良部みたいな、それはまぁ課長さんがそんな風なキャラではありますが愛されキャラとしては描かれてないですし。


そして最後に色んな舞台仕掛の裏側が明かされる、それはなんとなく伝統的な推理小説な手法のようでもあり、そこで私は初めてこの本はミステリー作品だったのかと思いましたけど、それでもなんか、明かされる内容も突飛というか、あまりにもフィクション感があるというか、あぁそうだったのか!と膝を打つものでもない気もしましたし、それで終わるのも、この物語自体、この主人公がやってきたこと全てを無にする話で。


最近私は、年齢のせいか自分の生きてきた過程を、深く悔いて思い返すことも多いのですが、Iターンというか、ま、Uターンを考える時もあるんですけれども、そんなイジイジと考えたりしている身からしても、なるほどなぁとは思えなかった、そんな作品でした。