久々に中森明菜さんを聴きたくなって、未聴の明菜さん作品「SINGLES27 1982-1991」を、これはデビューから8年間在籍したワーナー時代のシングルを発表順にまとめたもので、1994年11月、この頃、彼女がワーナーを離籍してからいくつもリリースされたベスト盤の一つで本人は関与していない所謂非公認作品です。


まあそんな経緯もファンとしては複雑な作品でもあり、散々聴いてきたシングルをただ発売順にまとめたものという企画の素っ気なさもあって聴かずにきたのですが、改めて聴き直すと、うーんやっぱり凄く良いですねぇ、そもそも与えられた楽曲もどれも良いしそれをしっかりと明菜さんが歌うことで魅力を伸ばしている、声も楽曲に合わせてどんどん変化していて、明菜さんの楽曲って他の誰が歌っても良いと思えたことがない訳ですが唯一無二の歌い手です。


発売から時系列で並べただけなのに1人の少女の成長物語にピタリとハマっているのも怖いくらいで、恐る恐る未来を思うあどけない少女の「スローモーション」からティーンの複雑な苛立ちを思わせる「少女A」「禁区」、ドラマティックな大人の世界への旅立ちの歌「北ウィング」、徐々に激しい恋愛の世界に身を投じていく「ミ・アモーレ」「DESIRE-情熱」「TANGO NOIR」等を経て、悲しい破局「難破船」「LIAR」があり、最後「二人静-「天河伝説殺人事件」より」の境地にまで至る、明菜さん本人がどこまで意識していたのか、プロデューサーが先導したのか分かりませんがストーリー性が明らかですよね。


そしてそれに呼応するかの様な明菜さんの表現力の向上振り、こういう凄いシンガーの存在は音楽ファンにとって本当に僥倖だと思います。


このワーナー期以降も多くの名曲を生み出してきている明菜さん、最近はめっきり表に出てきてくれなくなっちゃいましたが、音楽活動再開しないのかなぁ、数々の作品を聴き返すにつれ、不在の期間が長くなるにつれ、その熱は冷めるどころか高まっていくような気がします。