ようやく最近になって、息子コロ(小3、支援級在籍)の不登校生活にも慣れてきた。
今年の初め頃はもう登校渋りが始まっていたけれど、その時は「お母さんは外でお仕事がしたいんだ!!一人で留守番してろ!!それが嫌ならお父さんにお願いして、新しいお母さんに取りかえてもらえ!!」と、自分でも信じられないぐらいに嫌な言葉を吐きながらコロを怒鳴りつけていた。
本当にコロには申し訳ないことをしたと思っている……。
それが今はすっかり諦めがつき、コロが学校に行かないことで激怒することは一切なくなった。
登校刺激もしていない。
2週間に1回、こんな会話が10秒足らずで繰り広げられるだけだ。
「コロ、学校にプリント取りに行くけど、コロも行く?」
「行かない。」
「そっか、じゃあお母さんが1人で行ってくるわ。」
……私1人で学校に行き、担任の先生から「コロくんも顔を見せに来れるといいんですけど。」と言われて「はい~(苦笑)」返事をする時の方がよほど辛い時間である。
淡々と日々が過ぎていく中、今日は久しぶりにコロを怒鳴ってしまった。
あらかじめお断りしておくが、怒鳴ることが減っただけで、小言はしょっちゅうコロにぶつけてしまうし、無駄にイライラしまくりだし、相変わらずダメ母であることに変化はない。いやはや、修行が足りぬ。
詳細は省くけれど、私の怒りスイッチが入ったきっかけは、コロがパニックを起こし「自分が大好きなハズのマーブルチョコレートをゴミ箱に捨てる」という行為だった。
しかも、1粒や2粒ではなく、結構な量を……。
自分でマーブルチョコを捨てておいて、「おやつがない」と泣くコロを見た途端、私の体中の血液がドワァァっと頭に上昇した。
学校が辛くて登校しないのも仕方がない。
偏食が酷いから、苦手な食べ物を残してしまうのも仕方がない。
片目をつぶって、今まで多少のことは淡々と対処してた。
だけど。だけど。
でも、まだ食べられる食べ物を、しかも大好物のおやつを捨てるなんて!!!!
私は我を忘れて大声を出した。
「コロ!!お母さんは許さん!!」
「まだ食べられるものを捨てるなんて悲しい!!」
「こういうのが一番許せない!!」
「あのなぁ、マーブルチョコっていうのはなぁ、外国で一生懸命にカカオ豆を取ってくれる人がいて、明治っていう会社の人が作ってくれるんだ!!」
「お菓子が食べられるのが当たり前だと思うなよ!!」
「お母さんも、コロも、自分でチョコレートが作れないでしょ!作ってくれる人がいるから食べられるんだよ!!お金を出して買うからいいっていうんじゃない!!」
「チョコレートを作ってる人はなぁ、”美味しく食べてほしいな”って思いながら作ってるんだ!こんな粗末なことされてるって知ったら、悲しいと思うよ!!」
「カカオ豆を作ってくれた人に謝れ!!明治の工場の人に謝れぇぇぇ!!!!」
コロは私の怒号を聞きながら、ますます泣いた。
「わぁぁぁ、僕は世界一悪いことをした!!工場の人に謝るよ……」
それを聞いて、私も涙がこぼれた。
その後に、コロは「わぁぁぁ、僕は捕まるかもしれない!!」と言いながら泣いていた。
こういう所は彼の特性だと思う。
結構な勢いで思考が飛躍してしまうのだ。
いやいや、母さんが言いたいのは、法律違反とかそういうんじゃなくて、マナーとかモラルとかの問題なのよ……と説明したいけれど、そういうグレーゾーン的な解釈がコロには難しい。
なにはともあれ、もっと優しい言い方をすれば良かったと後から反省したが、久しぶりにコロの行動がどうしても許せなかったのだ。
どうやら私は食べ物を粗末にすることに関して、怒りの沸点が低くなってしまうらしい。
それが証拠に、隣でテレワークしていた夫は一部始終を見ていたにも関わらず、何も言わなかったし、怒ってもいなかった。
私が食べ物に関して敏感になっている理由に、自分の実家が農家だったから、野菜や米を作ることがどれだけ大変か間近で見てきたことが大きい。それと日雇いのバイトで、1日中弁当を作り続けて、翌日筋肉痛で起きられなかった経験があるからかもしれない。
とにかく、コロには自分の便利な生活が当たり前だと思って欲しくない。
原料を作る人、加工する人、運ぶ人、お店に並べて売ってくれる人がいるから、安心して口に入れられるんだ。単なるモノじゃない、色んな人の手がかかっていることを頭の片隅でもいいから置いてくれたら、親としてこんなに嬉しいことはない。
勉強ができるとかそんなことより、誰かの努力に敬意が払えることって大切だと思う。
「金で解決」とか「はい、論破。」でバッサリ切り捨てる大人は、見ていてあまりに切ない。
私も夫もコロも、テレビで「工場見学系」の番組(リアルスコープ、探検ファクトリーetc)を見るのが好きだ。
それにコロは、私の親友たちが入学祝いに贈ってくれた『たべもの』という図鑑でカカオ豆からどうやってチョコレートが出来るか、夢中になって何度も見ている。
学校で勉強していなくても、こういう楽しいコンテンツを見ながら、社会の仕組みを少しずつ知ってくれれば。
私が怒鳴るより、ずっとずっと食べ物の大切さが伝わるはずだ。
伝わって欲しいなぁ……。
難しいかなぁ……。
【トンコの勝手にブックレビュー】
『たべもの まどあきしかけ』(はっけんずかんシリーズ)学研出版
大学時代の親友たちがコロの入学祝いに贈ってくれたうちの1冊。
コロもハコも大好きで、楽しく見ています。
しかけ絵本仕様になっていて、絵をめくるとまた絵が出てくる可愛い図鑑です。
レストラン、工場、農場で食べ物がどうやって作られるのか、分かりやすい解説が満載。
大人も凄く勉強になります。