ゴールデンウィーク前に、ASD息子コロ(特別支援学級在籍、小3)が通っている学校の遠足があった。

 

遠足と言っても、学校の近所にある公園に行って遊ぶだけという「近足」である。

インクルーシブ教育の一環なのか、普通級の子に交じって一緒にお弁当を食べたりもするらしい。

 

 

コロの昨年度の担任の先生は、超ベテランで子どもを楽しませるプロフェッショナルだったので、コロは「遠足=楽しい思い出」という記憶が脳内にインプットされているらしく、普段は学校に殆ど行かないコロに今年の遠足に行くかどうか聞いてみたらば、即答で「行くよ!!ウシシ」という返事が返ってきた。

 

 

コロが遠足に行く事を新しい担任の先生(小学生を初めて担任する若い講師の先生)に伝えたら、「えっ、そうなんですね。」と意外そうな顔をしていた。

……先生はコロが遠足に来ないと思い込んでいたらしい。欠席が続き、毎日1時間しか登校しない子だから、そう思われても仕方がない。

 

 

そんな心配をよそに、スーパーでおやつも自分で吟味して選び、遠足の日を待ちわびているコロ。

 

コロが楽しみ気分のまま当日の朝になったので、私は遠足用に久しぶりの”偏食弁当”を作ることにした。

 

 

以前、ブログに書いた偏食弁当の時よりも更にコロの偏食は酷くなっており……。

今回はたった2品しか入っていない「ガチで虐待を疑われる弁当」が爆誕してしまった。びっくり

 

 

……恥を忍んで【シン・偏食弁当】を公開させていただく。

ジャジャーン!!(←古い)

 

 

 


【シン・偏食弁当の内容】


カルシウム入りチョコクリームを塗ったロールパン×3


鉄分入りベビーチーズ1個


以上!!

 

 

 

私が栄養について全く気にしなくなったと言えば嘘になるが、普段とは違う環境(しかも外)で全然知らない普通級の子と昼ごはんを食べるシチュエーションを考えたら、コロには不安しかないはずなので、食べ物ぐらいは好物で固めた安心弁当を作ってやりたかったのだ。(言い訳にしか聞こえないかもしれないけど、本音なのさ。。。ゴニョゴニョ。。。)

 

とにかく、世間体を気にして彼の大嫌いなプチトマトやブロッコリーやナゲットを入れる気にはどうしてもなれなかった。


弁当の彩りより、栄養より、コロの安心が第一だ。

 

映えなくたっていいじゃないか、偏食だもの。(コロ母)

 

 

 

 

コロが登校したら、校門では校長先生が「遠足に行かないんだぁ!!」と大暴れしている1年生の子とお母さんに全力で付き添っておられるのが見えた。(コロも保育園の時に経験済。)

 


支援級の玄関で、担任の先生に引き渡そうとしたら、先生から真顔で「もし、コロくんが途中で耐えられなくなったら電話しますので、お迎えをお願いします真顔」と言われたので、「勿論です!!」と即答した。

 

 

そうは言いつつ。

コロがこれだけ遠足を楽しみにしていたし、大好きなおやつもあるし、偏食弁当もあるし、大丈夫だろうと私は安心しきっていた。


きっと、13時半の下校時間に満面の笑みで帰ってくるだろうと思っていたのだ。

 

 

ところがどっこい、そうは問屋が卸さない。

 

 

10時半過ぎに私の携帯電話が鳴り、担任の先生から「コロくんが、遊べる遊具がなくて…。帰りたいと言って泣いてます。お迎えに来ていただけますか。」という言葉が。

 


ガガーン。

淡い期待を抱いたが、ダメだったか。。。

雷に打たれたようなショックが走ったが、それを悟られないように無理をして元気な声を出す。そうでもしないと、私の方が泣きそうだ。

 

「ハイっ!かしこまりました!!すぐに自転車で迎えに参ります!」と短く返事をし、電話を切る。

 

 

テレワークをしている夫に「コロちゃん、遠足も早退だってよ。」と告げ、チャリを猛スピードで漕いで指定された公園へ。

 

 

外は暑くもなく、寒くもなく、見渡す限りに青空が続いている。

こんな最高な天気なのに、帰りたくて泣くコロのことを思ったら、そのギャップにどうしていいか分からなくなる。

 

言っちゃいけないと分かっていながら、「どうしてウチの子ばっかりこうなんだろう…」という独り言がつい出てしまう気弱な母である。

 


公園に着いたら、目に涙をいっぱいに溜めたコロと、苦笑いの担任の先生が見えた。

 

担任の先生は「ブランコもダメ、滑り台もアスレチックが付いていてダメと言って、泣いてしまって…。帰りたいと言ってまして。」「でも、歩いてここまで来れたんだよね?」と気遣う言葉もかけてくれたが、コロは無言。

 

私はまたまた努めて明るく口角を上げて、「ああ、そうですよね!!苦手なことが凄く多いので…。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした!!では、失礼します!!」と言うなり、深々とお辞儀をした。親の私もちょっと泣いているのがバレないように。

 


コロは自転車の後部座席で「つまらなかった。帰りたかった。」と何度も何度も言っている。

それを聞きながら、「そっか、そっか、じゃあ、じゃーないな。」と明るい声で返事をする私。

 

カラッとした爽やかな風が私の頬を伝った涙を乾かしてくれた。

そうさ、この天気が私のジメジメした心も空の上に持って行ってくれるさ。

 

 

帰宅して手を洗ったコロ、ようやく安心しきった顔になってゲームを始めた。

 

お昼は、私と夫と一緒に嬉しそうに偏食弁当を頬張っていた。


 

遠足のために買ったおやつは、いつの間にかコロが食べきってなくなっており、その頃には私もすっかりセンチメンタルな気分は消え去って通常営業に戻ったのであった。

 

 

ま、生きてりゃそんなこともあるさ。 真顔