事の発端は年末のある日。
急に我が家の水道の出方が超絶に悪くなってしまった。
この家は築ウン十年のオンボロ集合住宅である。
過去にも、息子コロがちょうど1歳になる頃に天井の雨漏りが始まって、完全に直るまでに3年かかったという曰く付きの住宅だ。
……そんなボロ家になぜ長く住んでいるかと言うと、家賃が安いからに尽きる。
当初、あまりの家賃の安さに、事故物件なんじゃないかと思い、不動産会社に尋ねたところ、「いえ、ただ古いだけです」という返答が。
今時、風呂に追い炊き機能すら無い家なんて、どうかしていると自分でも思うのだが……。
しかも、「夏暑く、冬寒い」という最悪の環境なのに…。
家賃の安さ&駅から徒歩5分以内という、車を持たない我々夫婦には夢のような立地なので、引っ越せずにズルズル来てしまったのが現状だ。
夫が大家さんに水が出にくい窮状を話しに行ったら、「お宅だけじゃなくて、この建物全体の被害です。水道を汲み上げるポンプが老朽化で壊れています。年末ですんで、年明けにならないと工事も出来ません。」というケンモホロロな回答だったという。
大家さんは悪い人ではないのだが、このボロ住宅に自分で住んでいる訳ではないので、行動がムチャクチャ遅いのが難点だ。
しかも、この家は共益費が0円なので、借主も強く文句を言えないというカナシイ現実がある。
こんな状況だから、真冬なのに風呂にも入れない。
追い炊き機能が無いから、チョロチョロしか出ない水道を使ってお湯を溜めても、速攻で水になってしまうのだ。
仕方がないので、「ここはどこぞの難民キャンプか?!」と疑うぐらいに水圧の弱いシャワーをブルブル震えながら使うという日々を送っていた。
が。
ついに3日前、シャワーからお湯すら出ないという状況が発生してしまった。
夜だから、大家さんも帰宅しているし…。
夫は翌日から出勤なので、どうしても風呂に入りたい様子。
仕方なく、近所でコインシャワーを探したのだけど、当然ながら皆無。
一番近い銭湯もバスで行かなければならない距離である。
しかし。
風呂に入るためには銭湯という手段を使うしかあるまい。
しかも、バスなら、障害者手帳を持っているコロの運賃は有難いことに無料で乗車可能なのだ。
ところがどっこい。
いざバスに乗り込む際、私が公営バスの障害者パスを提示し、「この子は障害者です」と言ったのに、運転手のお爺さんが制度を知らない上に頑固ときていて、コロの分の料金が謎の(?)割引料金で徴収されるハメに。
私が「あの…、このパスを持っていたら、この子の料金は無料だと思うのですが…」と説明しても、「だから割引したでしょうが」と逆ギレされてしまい、返金には応じてもらえず。。。
他のお客さんもいるし、バスの出発時刻もあるので、すごすごと引き下がるしかなかったが、心がモヤモヤ。
パスの裏面にも【本人に限り、無料で乗車することができます】って書いてあるのになぁ…。
家の風呂にも入れず、コロの障害者パスも適用されず、とんだ年の幕開けである。
が。初めて入った銭湯が、普通の沸かしたお湯ではなくて天然温泉だと分かり、嫌な気分が吹き飛ぶ私。
それ以前に、シャワーが通常通りの水圧で出て来る事自体が飛び上がるほど嬉しい。
久々に足を伸ばして、天然温泉の大浴場に浸かれる気分といったら…もう最高!!!
コロナ禍で、ただでさえ旅行に行けない上に、自閉っ子と遠出するのは至難の業なので、思いがけず温泉旅行気分が味わえて、すっかり幸せな気分である。
夫情報によれば、コロも温泉がぬるめだったので、嫌がらずに入れた様子。
ホッ。
帰りのバスは行きの運転手さんと違う人だったけれど、今度は夫がコロの障害者パスを提示したら、コロの分は無料で乗車完了。
行きも夫にパスを出してもらったら、お爺さん運転手に逆ギレされることも無かったのかしら…
ま、運転手さん自身の問題の方が大きいだろうな。
湯上がりでバスに乗っても、さすが、天然温泉だけあって体の芯までポッカポカ。
寝る時も、足先が温かくてビックリ!!
昨晩から家のシャワーは復活して(相変わらず超絶な低水圧だけど。。。)銭湯に行ったのは1回で済んだけど、また機会があれば銭湯に行くのも良いなぁ。