文庫化を待っていました。

この本は
アメリカの作家ポール・オースターが
とあるラジオ番組の担当コーナーで行なった呼びかけに応じて
アメリカの一般の人々が寄せた物語をまとめたものです。

テーマは動物、家族、戦争、愛、死など。
くすっと笑える話もあれば
思わず目頭が熱くなる話、
運命を感じさせる話、
自分の身にも覚えのあるような話もあり
書き手の人生の一シーンに
寄り添っているような味わいがあります。
実のところ、非常に人間臭い話ばかりです。

ポール・オースターがこの本の着想を得たのが1999年。
約4000の物語のなかから180弱を選び
アメリカ国内で刊行されたのが
9.11事件の2日後であったといいます。

訳者の柴田元幸さんがあとがきでも触れていますが
アフリカ系アメリカ人が大統領に選ばれ
世界がアメリカの動向に注目するなか、
ここに収められたアメリカ庶民の思いや声は
刊行当時よりもいっそう親しく近しく
感じられるような気がします。

私が気に入っているのはこちら:

【I】
家族
- クリスマス前の水曜日
- 人生の縮図
- 一千ドル
スラップスティック (どたばた喜劇)
- ザッツ・エンタテイメント

【II】
見知らぬ隣人
- 雪

- トルテリーニの神秘
瞑想
- 浜辺

ナショナル・ストーリー・プロジェクト I (新潮文庫)
ナショナル・ストーリー・プロジェクト II (新潮文庫)

ポール・オースターが朗読する ナショナル・ストーリー・プロジェクト