風邪でダウンした私は病院へ行くことができず、左大腿骨頚部骨折の手術を母が受けてのち初めての再会となった。リハビリで母はバーを摑まりながらそれはゆっくりだったけれど自分の足で歩いていたのだった。
私は過去に7回の手術を受けている。
握りこぶし大の子宮筋腫、ひざの検査兼半月板損傷の内視鏡手術、左ひざ前十字靭帯の再建術、手術の際のビスを抜く手術、そして帝王切開3回。
なにが言いたいかというと・・・
手術の段取りを知っている恐怖なんです。
体に麻酔がかかってくる時のあの心拍音、鼓動、何とも言えない奇妙で不快な体が受けるあの感覚。
麻酔が覚めてからのドクドクと脈打つあの痛み。
痛みとひとり戦う晩の長いこと。暗闇の中で早く夜が明けないかと願いながら痛みと恐怖で眠れぬ夜を過ごす。
術後の身動き取れない精神的な苦痛。
術後は必ず熱が出て、がたがたと震えが止まらなくなる。
すべての手術が同じでした。
体を切るということはそういうことなのです。
知っているだけに、母のことも必要以上の心配をしたり、不安になる・・・
でも今日の母の様子をみて、人間ってすごいって改めて感じました。私が昔、舞台に復帰したくて必死でリハビリを頑張った二十云年前に一瞬タイムスリップしてました。
母のそれは、赤ん坊の我が子が初めて歩いた時のあの感動とほぼ同じものでした。
介護は赤ん坊と違ってできるようにはならない、できないことが増えていくと聞いていました。なのにできるようになっている存在が目の前にいる。
(ちなみに母は依存していた父が亡くなり、未亡人で中1と小5の私と妹を育ててくれました。依存してきたばかりにまったく頼り気ない母で、その分私と妹はしっかりせずにいられませんでした。)
私が見たこともない母でした。
今更ですが、ようやく本当の母を知ることができました。
実はとても芯の強い人だったのです。
健在なうちに気がつけて本当に良かった!間に合って良かった!
これからが試練です。
母にとっても、私自身にも。
役者としての本当の意味が問われるのもこれからなのです。