一通りSeestarの機能を使ってみてのまとめレビューと感想です。

今までの記事はこちら

 
あと、撮影した生stack済FITSは、ここに保存してあります。

いじってみたい方はご自由にお使いください。

※中身は気分で更新します。急に非公開にするかもしれません。

 

私はプロでは無いし、アマチュアもいいところなので個人的な感想と思ってください。

超初心者向けの内容もあります

しばらく天体観測をしていて気になった部分についても書いています。

普通、レビューだと良いところを中心に紹介することが多いですが

いきなりですがネガティブな所から書きます(笑

 

★出来ない事★

「土星の環や木星の大赤斑の観測は無理」

仕様といえば仕様なのですけど、短焦点なので拡大率が全然足りていません。

実際に撮影した土星を切り出した原寸です。こんな感じでしか見えないです。

※明るさを調整すれば、衛星も見えてきますが、土星本体は白飛びします。

仮に倍率を上げることができたとしても土星の環の詳細を見るには、

口径が50mmでは解像度不足で見えないです(80mm以上を推奨)

木星はもう少し大きく見えるので、明るさを調整すれば縞々は見えるかもしれません。

また、金星についても同じような感じに撮影されると思います。

白い色の三日月か半月が区別はつく感じではないでしょうか?

水星は、たぶん点でしか見えないと思います。

 

「巨大DSO天体は全体が入らない」

月を縦てに2つ並べるぐらいの視野範囲しかありません。

特にアンドロメダ銀河はまったく足りません。

よく見かけるアンドロメダの写真と同じもの撮影は絶対できないです。

こちらステラリウムでのシミュレートですが、赤枠が撮影範囲です。

また、オリオン星雲も有名な構図全体は入りきらないです。

 

「逆パターンで小さいにも向かない」

拡大したりもできないし、そもそも口径も50mmなのであまり適しません。

M57の原寸で、こんな感じになります。

全体だとこんな感じ

これよりも小さい天体の撮影には向いてないです。

 

「カメラを回転させられない」

たとえば、馬頭星雲やプレアデスを撮影したとき、こんな感じ見えたとします。

カメラを回転させれば綺麗な構図になりますが出来ません。

普通に望遠鏡をつかっていれば、カメラはいくらでも方向を変えられます。

でも、Seestarは無理ですわ…

びみょ~にストレスがたまるかもしれないです。

 

「そのままで2インチフィルターは付けられない」

前に投稿していますが、何も考えずに2インチフィルターを付けるとこうなります…

※動画貼り間違えましたm(_ _"m) 2023/09/10修正

 

このまま付けたらダメですよ!※私はやっちまったけど(ノД`)

公式のFacebookでは、こんな投稿を見かけました。

「3Dプリンターとかで専用2インチホルダーを自作した人は居ないか?」

とか、「なんかを代用してつけている写真」も上がっていましたね。

でも、あまり重たいと本体に負荷がかかりそう(´・ω・`)

アダプタ販売後、購入するか、自作するか、何か(?)を流用するしかないです。

でも、アプリ側での画像処理の影響がどの程度になるのか気になるところ

 

★これは完全に仕様です★

「長時間観測すると端が切れる」

長時間露出するとこうなります(わかりやすく強調してます)

この画像は、合計で370秒の露出時間です。

時間をかければかけるとほど、綺麗になっていきますが

画面の中心にある天体を追いかけていく関係で回転した分の差分が見えてきます

※空が安定していて光害もなく、空気か綺麗で雲もなければ影響は小さいかもしれませんがw

これは、経緯台なので、どうしようもないです。

もし、倍の時間露出すると、さらに倍のズレが生じますので無視できなくなります

画像処理で消す(見えにくくする)か、中心部だけクリップするしかないです。

 

「スマフォの電池がもたない」

Seestarのバッテリーは5時間ぐらいは大丈夫そうです。

ただし、スマフォの方が先に根を上げるのが確実でモバイルバッテリーは必須

結露防止ヒーターをONした場合の本体稼働時間については不明。

本体もモバイルバッテリーで充電可能です(仕様によれば、TYPE-Cの2A仕様)

やったこと無いけど、充電しながら運用可能らしいので問題にはならないかな?

 

★不満な点★

「1フレームの生Ftisが無い」

私が一番不満なのがこの点です

天体写真は最後に仕上げの画像処理の有無が重要だったりします。

Seestar本体には、stack済のFitsが保存されていますが

1フレーム毎に保存されません(´・ω・`)

有れば不出来なフレームを取り除いて再stackできるのですが…

のちのちのバージョンアップで対応されると思っていますが(わからんけど)

本体側のフォームウエアの更新が必要になるでしょう。

【追記】

アプリバージョン1.8以降で、生Ftisを保存するOptionが追加されました。

Seestar本体に別に保存されます。

 

「太陽フィルターの造りと強度」

同梱されていたフィルターを装着し太陽撮影をしました。

まぁ見え味については、まぁ普通で問題はないのです。

でも、外すのが大変…しっかり、はめ込むので取り外すのが厳しい

枠がプラスチックでできているので変形してしまいます。

フィルターを破いてしまったり、ゆがませてしまう可能性があります。

これは、もうちょっとなんとかならないものかな…

でも、太陽撮影時に使うことは、今後は無いかな

主砲の方が全然綺麗に取れるし、太陽であれば最小限設営でなんとかなるし

 

【組み立ても若干怪しい部分あり】

レンズと筐体の隙間部分を固定(?)している部分

ボンドが均等になっていないです。

性能部分に影響なければよいのですけど、

レンズの固定部分だった場合、工学系の密閉性に疑問が出てきますし

もしかしたら、当たり外れがあるかもしれません

まぁこのあたりも徹底したコストダウンの影響でしょうけども。

 

「フタが無い」

電源をOFF時、鏡筒が下を向くのでゴミは入りにくいのですけど

普段使わないときや、野外で待機中にはフタをしておきたいですね。

これは標準添付されていないので、何か自作したほうが良いかもです。

 

「Bluetoothがうまく識別されない」

Android端末だとペアリングできました。

が、再度接続しようとしたらできなくなりました…なじぇに?

さらにIOS(iPhoneSE2、iPad)でリストに出てこないのですよ。

アプリ上でBluetoothの権限が要求されるので非対応ってことは無いと思うが…

SeestarのBluetoothモジュールに問題があるのかもしれません。

私の使い方が悪い可能性もありますけども(´・ω・`)

WIFI接続であれば問題無く動きますがSeestarに占有されてしまうので

可能であれば、Bluetoothでつなぎたいのですけどね…

出先だったら、あまり関係ないかもしれないので必須ではないのですけども。

 

「天頂は撮影できない」

いじっているときに気が付いたのですが、高度は85度(だったかな?)までです。

天頂の観測は出来ないようです。※普通の望遠鏡でも厳しいけども

機構的な制限なのか不明ですが、追尾しているときに可動範囲を超えたり

反転時に一気に動かす必要が出て、撮影フレームが大回転してしまうから?

理論上は、ソフトウエアで対応可能でしょうけど少々厳しいですね。

 

「三脚が使いにくい」
標準添付の三脚ですが無いと困ります。

でも、水平を合わせるのが難しい…慣れが必要ですね。

他に良い三脚をお持ちであれば、それを使いましょう。

持ち運びには便利な大きさなのですけどね…

 

「月、太陽の導入が面倒」

これは、アプリバージョンV1.6での状況です。

この記事を書いている時点で限りなく手動での導入になります。

普通にStargazingモードにして、太陽や月へGOTO。

その後、プレートソルブが実施されるのですけど、これをキャンセル。

そうすれば、だいたいの方向にむいていますのでここから手動で合わせる感じ

V1.7では、自動的に導入できるようになるみたいです。

 

【追記】 2023/09/08 21:30

9/8 15:00前後にIOS版もV1.7に更新されました。

彗星のリストが追加されたり、電子コンパスの校正モードもあるようです。

まだ、試していません(´・ω・`)

 

 

「人間ダメになるかも?」

突然意味不明なことをかいていますけど、理由は最後に書くことにします。

 

★次は良いところ行きます★

「可搬性が抜群で設営が超楽ちん」

もうこれに尽きます!本体が軽いしPCも必要ありません。

ちゃぶ台にのっけて、電源をいれて、スマフォに接続。

そして、水平を合わせれば準備完了のお手軽さです。

視野がとれなければすぐに移動ができるのがとても気に入ってます。

 

「天体導入がとても超楽ちん」

普通に「Stargazing」モードに入れて、目標天体を検索しGOTOするだけです。

その後、プレートソルブで位置補正をしてくれます。

一発で入らなくても何回か実行して目標の天体が簡単に中心に入ってきます。

ちなみに、ダーク補正やフォーカス調整も自動で行われます。

 

「思っていたよりも見える」

最初撮影したときにびっくりしました。

超光害地の上海…しかも短時間露光でここまで見れるとは!

50mmアポクロマートをなめてはいけないです。

 

M27 亜鈴状星雲 フィルターON 10Sec×15枚stack

Stack処理だけの生Fitsをjpgに変換したものです。

しかも短時間でこれだけ撮れれば素晴らしいです。

 

「微妙な位置合わせが楽にできる」

太陽、月、Stargazing(stackしていない状態)のライブビュー状態のときに

ぐりぐりと方位と高度を動かすことができます。

微妙に動かしたいときは、これを使わずに画面をちょろとスワイプすると

一瞬遅れますが、スワイプした分だけちょろっとカメラが動いてくれます。

月や太陽を中心入れたい、星雲等の構図を調整したいときに便利です。

 

「撮影に失敗しているフレームの処理がまとも」

Stack開始直後、ガイドが暴れて星像が流れることがあります。

その場合は、星像が点になってからstack開始します。

このあたりの処理は、ASIAIR等のノウハウが入っているのでしょう。

また、stack時間がカウントされない場合があり、この時は失敗しているようです。

※おそらく雲や光(車のヘッドライトとか)で撮影失敗

ダメフレームは、破棄されているようにみえますが、実際は不明です。

※特にエラーメッセージや破棄したことについては何も通知されません

 

「フィルタのON/OFF」

常時IRCUTフィルターを使用しています。

LPフィルター(Duo)を任意にON/OFFでき効果は抜群です。

※Stargazing(stack)モードのみですのようです

星団などはOFF、星雲はONにして撮影するのが良さそうです。

 

【太陽、月、ビューモード】

正確にはSolar、Lunar、Sceneryなのですけど

それぞれで、画像処理が最適化されているようです。

GAINや露出時間、色の設定が異なるのでしょう。

どれも、自動的に違和感ない色合いになります

※個人的な好みはあるかと思います

Lunarで月を見れば、真っ白な月の画像が得られます。

Sceneryでみると、目で見た感じの黄色みかかった月になります。

一発どりでも綺麗に撮影できます。

※月食や日食だと、どういうモードで撮影するのが一番いいのかね?

 

【太陽、月のRAW撮影】

動画撮影モードにすると、RAWオプションが使えるようになります。

ONすると、Seestar本体にAVIファイルが保存されます。

※おそらく無圧縮AVIになりますが、最大録画時間については不明

※【追記】最大10分。Seestar本体の容量的に30分ぐらいいか撮影できない

※ちなみにRAWをOFFのまま動画撮影をするとmp4がスマフォに保存されます。

これは、PCでUSB経由で読み出すことができ、これをAS!3でそのままstackすることが可能です。

↓スマフォ本体に格納されている1枚撮り

↓本体に格納されたAVIをstackし、Wavelet等の画像処理をしたもの

一発撮りは、ちょっとシャープさがありませんけど、スマフォ画面でみるととても見ごたえがあります。

画像処理を施したものは、さすがにシャープになりますね。※色が青飛びしている部分が気になる

150/750+ASI224でモザイク撮影と比べると解像度が落ちますが遜色無いレベルです。

CMOSのピクセルサイズが、2.9μmと小さいため、思いのほか緻密に撮影できる感じかも?

 

★まとめ★

可搬性に優れているので、ちょい見用のセカンド機としても良いです。

初めて買う望遠鏡としても最適だと思います。

物足りなくなったら、大口径の鏡筒を購入すれば良いと思いますしね。

※ただし、すごいお金と手間がかかって、びっくりすると思いますが…


この望遠用の記事を書いたときは「買わない」とか言ってましたけど

小回りが効くので出先で使ったり、主砲撮影時の暇つぶしに良い感じ。

私はとても気に入りました!これは便利です!

お値段もお安いです!買いです!

これを知ってしまったら、定価の3000元でも買ってしまうでしょう…

@take**@さん、y-numajiriさんが正しかったですm(_ _"m)

 

★最後に★

先行予約販売で2000元(4万円)で購入。

これって、ASI294MCの半分以下なのですよ…

※現在は通常価格で3000元(6万円)日本だともうちょっと高い

使っている主砲本体とかカメラやアクセサリーで1万元余裕超えている

2インチのDuoフィルターだけで1000元近くしたし(´・ω・`)

高級狭帯域のフィルター買う値段で買えちゃうんだよ?

これだけの機能を詰め込んだ上に価格破壊ができるZWOはすごいです。

 

あと、「人間ダメになるかも?」についてです。

今まで、いろいろ調べたりしたこととか、ONSTEPとかそういったことも含めて

色々工夫したり情報収集したり、ありがたい無料アプリを使わせてもらったりと

2年ほど知識と経験を積んできたのですけど

Seestarだけで吹き飛んだわ( ゚Д゚)

ほとんど何も考えないでも撮影できちゃう仕様ですよ

これはこれで良いけど、便利すぎて何も考えないダメ人間になりそう。

 

天体観測って、全員が同じ環境にならないのですよ。

用途や予算と相談しながら購入するから機材が違うし当然セッティングも異なる

色々な情報を参考にしながら試してみる面白さがあると思っています。

でも、Seestar便利すぎて、私もダメになりそう(笑

まぁ最後の画像処理だけは残っていますけど、これは王道は無い気がします。

これについては日々精進でしょうか(´・ω・`)

 

30年近く前に会社の先輩が言っていたことを思い出した。

「オートマと携帯電話が日本人をダメにした」

今は、何になるのだろうね?

すくなくとも、Seestarは一般人には適応され無いだろうけども。