私が住むパリのアパートには、フランスの祖父母や親や私の昔のものがかなり多い。
たまにぷつっと何かが切れたように断捨離をするのだが、なかなか物が減らない。
(うつ病になってネットで衝動買いしまくった時期にたまったものもある・・・)
粗大ごみに関してはパリのシステムは素晴らしいが(申し込んで路上に出しておけば無料で収集にきてくれる)、まだ使えるものを寄付するには有名なEmmausというNPOがある。
田舎だとそれぞれ車で寄付品を持ち込むが、自動車を所有しない人が多いパリ市内の場合、家具類の大きなものを寄付する場合は収集に来てくれる。
・・・はずなのだが。
2か月ほど前、私は決まっていたはずの収集の予定をすっぽかされた。
予定の時間になっても、待てど待てど誰も来ない、来ると言っていた人と連絡もつかない。
Emmausの近所の店舗に電話してみるが、「知らん」と言われる。
その日の晩、玄関に山積みにしていた家具類を見てぼうぜんとした。
重いものを一人で、かなり頑張って玄関にまとめていたのだが。
子供たちが次の日から私のアパートで過ごすから、危ないし、少しでも片付けなくては。
無心になって、私はまた家具等を移動した。
それから数日後、Emmausからメールが来た。
「先日は問題があって行けませんでした。〇日(2週間後)に行きます」
・・・いやいやいや。勝手に決めるなや![]()
その日もう日本やわ。
てか問題があったらそん時に連絡しろよ![]()
いろいろ思うが、相手はNPO。スタッフも低賃金で雇われてる。
文句はあまり言えない。
メールでもっと早く来てもらえないか聞くが、無理だと言われる。
私は激しく落ち込んだ。
(日本から帰ってきたらまたこの山積みにされた物を目の当たりにするのか・・・)
メンタルが弱い自分は、祖父母の遺品や親が昔買った、思い入れはあるが絶対に使わない無駄にかさばるものを、めちゃくちゃ思い切って手放すことを決めていたのだ。
時間の無駄とか、体力の無駄、とかではなく、とにかくメンタル的に思い切った断捨離(の予定)だったから、かなり落ち込んだ。
たまたまその日に会った旦那にこの話半泣きで打ち明けると、旦那(未だ離婚はしていないが別居中)が少し考えてこう言ってくれた。
「・・・あのな。全部、寄付する予定やったもん、結構いいものやん。路上に出そう。」
「粗大ごみを収集に来てもらう体で、路上に出しておいたら、絶対に一瞬で全部持ってかれるで」
(実際粗大ごみとして出されたものも「売れる」「使える」と判断した人たちがどんどん持ち帰ってく事がある)
私「そんなん・・・勝手に出して・・・誰ももってかへんかったら・・・」
旦那「そしたらそん時にそれを粗大ごみとして申し込んだらいいやん。」
さらに旦那は「今晩はサッカーの試合があるし、壊される可能性が高いから、明日出そう。」とまで言ってくれ、翌日(近所に住んではいるが)全部路上に出すのを手伝ってくれた。
というか、旦那がほぼやってくれた。
翌日、私が住む通りを通った旦那から「ぜんぶ消えてる!」と画像が送られてくる。
・・・ええ人や。
色々、にくったらしいし、2年前は〇ねって思うほど、この人と結婚して子供を産んだことを後悔していたが。
私との関係はともかく、こういう所はいい人やねんな・・・・・
そうあらためて思った。
そして昨日の話になるが。
日本に子供二人連れて一時帰国し、またフランスに戻ってきて、子供を旦那に引き渡し、プチ鬱状態に陥っていた私。
4日ひきこもった後、仕事でパリに数日戻ってきた旦那がランチでもどうかと誘ってくれる。
(それくらい良好な関係にはなっている。というか子供の事を思うと良好な関係に無理矢理にでも持っていくしかなかった。)
私は旦那に、前回、Emmausに寄付予定で路上に出さなかった小物・衣服を段ボール2個分ほど(家具系ではないから収集に来てもらえない)、スーツケースに入れて、がんばってEmmausの店舗まで持っていくつもりだと打ち明ける。
応援してくれる旦那。
翌日、ネットでEmmausが開いていることを確認し、
さらに電話をして今日開いてることを確認し、
何を寄付していいか確認し、
「まじで服はきれいなのだけにしてくださいね」とくぎを刺されたことから再度子供のサイズアウトした服を一枚一枚、状態を確認し。
そして、がんばって、スーツケースとIKEAのバッグひとつ担いで、Emmausの店舗まで歩く。
気温は38度。
ぜいぜい言いながら、こないだ旦那が手伝ってくれたおかげで少しスッキリしたし、このまま断捨離を頑張らなくては。
とう思いながらEmmausに近づくが・・・・
・・・閉まってる![]()
ショーウィンドウからレジらへんで集ってるスタッフらしき人たちが見える。
そして「すいませーん」と合図する私に、みんな、首を切るジェスチャーで(フランス式?)「閉まってます!!」と言ってくる。
いやいやいや!
私電話で確認したで!!
そうこっちもジェスチャーで伝えてみるが、無視される。
・・・うそやん![]()
・・・ここで急にメンタル障害の話になるが、実は3年前、うつ病になったとき、実は身体醜形障害とやらの話をされている。
Body dismorphic disorderというらしいが。
ようは、鬱だと診断されたときは、自分が醜すぎてとにかく生きるのをやめたかった状態だった。
今はお薬を飲んで安定しているのだが、日本での浮かれた日々からフランスの『日常』に戻ってプチ鬱状態の私。
前日ランチで旦那と会うために久しぶりにアパートを出ようと準備をしていた時、鬱だった頃の外見に対する嫌悪感がぶわーーーっと襲い掛かってきていた。
自分が醜すぎて、外出が怖いのだ。
3年前は毎日これだった。
思い出す。
首らへんがぎゅーっと締まり、心臓がバクバクし、泣きたくなる。
その気持ちと戦って、私は前日、そしてその日も、外出をしていたのだ。
もちろん、これはスタッフらは知ったこっちゃない。
私の勝手な問題だ。
でも、そこで、降りたシャッター、無視するスタッフ達を前に、私は、あー、もう、あかん、と、思わず泣いてしまった。
道端でうずくまって泣く私。
ぶさいくやから目立たないように生きてるのに、こんなん余計目立つやん。泣き止まな。
そう思うが、涙が止まらない。
すぐ家に帰る気力と体力がない私は、とりあえず昨日応援してくれた旦那に状況を説明するメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
「今仕事終わった。そっち行こうか?荷物持って帰るの手伝うよ」
ありがとう、お願いします、と返す。
少しして旦那の姿が見え、乾き始めていた涙がまた込み上がってくる。
旦那は私の背中をさすりながら、私の置かれた状況に対し腹を立ててくれた。
Emmausのスタッフが、店から出ることもせずに私に帰るようジェスチャーしてきたことに対し、怒ってくれた。
そして私を励ましてくれる。
「〇〇(私)は頑張ったで、えらいで、なんも間違ってへんで。」
そう言ってくれる。
ありがとう、と感謝しながら泣き止もうとする私。
そうこうしているうちにスタッフが全員ぞろぞろでてきた。
そして涙をふく私、クレームを言おうとする旦那に
「いや知らんっすよ俺ら、『今日開いてるって言われた』?ないないw」
「今日は15時半に閉まるってみんな分かってるしそんなん言うわけないわw」
と一人のスタッフに言われる。
別の人にも
「あんた達だってそうやろ、急に予定より長く仕事しろとか言われても嫌やろ!」と謎に説教される。
反論する旦那、もういいねんと半泣きの自分、そんな中、一人のスタッフが店内から「いいで、特別受け取るわ、はよ持ってき!」と言ってくれる。
すぐに旦那が反応し、店に入り、スタッフが出してきたゴミ袋に衣類などをつめ始める。
それを見ながら涙をふく私に、別のスタッフのおばちゃんが
「ほら、あんたも拗ねてんとはよ手伝ってき!」
と言ってくる。
は?![]()
悔しさと悲しさが一瞬で消え怒りが込みあがるが、旦那がふりむいて
「〇〇(私)、大丈夫、ほっとき、とりあえず手伝って」
と言ってくれる。
気持ちを切り替え私も手伝いに行く。
そして、店内にいたスタッフに感謝を伝え、「まぁ、とりあえず、寄付をありがとーございましたー?」と言ってくる路上で集っていたその他のスタッフを無視し、私たちはその場を去った。
空になったスーツケースを旦那が家まで引っ張って行ってくれた。
・・・ええ人や![]()
ここ2,3年、私は旦那を嫌う理由がくさるほど出来たのだが。
子供のためにと旦那との関係を頑張って良好な状態に持って行った今。
この人とやったら結婚していいかも、と思った理由を思い出す。
この人と子育てがしたい、と思った理由を思い出す。
子供の事だけを考えてこの3年頑張ってきたが。
やっぱり、別れ話を切り出す前に話し合う機会をもらいたかった。
子供もいるんやで。
別れてから話し合おうって、順序ちゃうやろ。
どうしても未だに腑に落ちないところはたくさんあるが。
私の子供の父親は、いい人や。
うつ病になったのは、旦那がトリガーではあったが、旦那のせいという訳ではない。
そして、弱っている今、旦那に助けられた。
私、ちゃんと、いい人選んでたんやわ。
そう思えることで、私は今、めちゃくちゃ救われている。

