旦那が子供を連れ義実家に。

 

相変わらずパリでひとり、廃人状態の私。

 

 

 

と、友達が「一緒に開会式テレビでみよーぜー」と誘ってくれる。

 

という事で見る予定もなかったオリンピックの開会式を見たのだが。

 

 

 

 

 

 

だいぶ興奮してしまった。

 

 

 

I'm proud to be 〇〇的なことはかなり苦手なのだが(自分が選んでない事、努力してない事で誇りとか言うなって思ってしまう)、

 

昨日ばかりは、あぁ、フランス人であることが、パリジャンであることが誇らしい・・・なんて、初めて、思ってしまった。

 

 

 

 

 

以下、順不同、思い出したのをばぁーっと。

 

 

 

 

 

ぽっちゃりマドンナからズームアウトしていくシーン。

 

みんなで「最後の晩餐きたーーーー!!!!」と大はしゃぎ。

 

ドラッグクイーンで再現されたあのイエス・キリストを描く名シーン。

 

 

最高だと思った。

 

 

 

 

 

 

音楽の多様性。

 

クラシックも今の音楽も大好きな私としてはほんとうお腹いっぱいになるセレモニーだった。

 

今回競技としてエントリーしたブレイクダンスが上手いので(あとイケメンなので)有名なカウンターテノールのjakub orlinskiが出てきて一人で大興奮!!(隣の友人たちはポカーンだが)

 

 

ちゃっかり歌うのはフランスのバロック音楽を代表するラモー。

 

そうそう、フランスがテーマだけあって、フランス人の作曲家オンパレードラブ

 

 

 

クラシックで言えばそのあとずぶ濡れで大好きなラベルの水の戯れを弾くピアニスト(それもセーヌ川の上で!)は圧巻だった。

 

 

 

 

そしてメタル好きの友達が大興奮したのはGOJIRA。

 

(彼らにGOJIRAって日本語(?)で言うGodzillaやでと言うと驚いていた)

 

フランスを代表するメタルバンド。

 

メタル界ではいい子ちゃんらしいが(友達曰く、あいつらの事やから今回つかったギターもオークションに出してどっかに寄付しはるかもな、と。)

 

カバー(???)したのはア・サ・イラ!!

 

それも斬首された貴族の頭からスタート!!


これ、クレーム来そうやなぁと苦笑いで言うと、すぐさま「これは僕たちの歴史なんや!!隠さず受け入れて見せるべきなんや!!」と真剣に返されてそこは真面目なんかいってちょっとおもしろかった。)

 

 

メタルファンの友人はまさかオリンピックでメタルを聞けるとは!と興奮していたが、

 

さらにそいつらがマリーアントワネットらが投獄され王族貴族の処刑判決が下された今でも司法機関として使われているコンシェルジュリーを乗っ取った形でAh ça iraをカバーするとは(←早口)、

 

なんつー演出や!!

 

(興奮気味)

 

 

(飛び出るテープ。完全に血しぶき笑い泣き

 

 

 

 

 

 

そうそう、革命、というか戦で言えば。

 

 

 

 

フランスが誇る(か知らんが)変人、フィリップ・カトリーヌが歌った

 

『裸では武器も隠せまい』

 

『裸では金持ちも貧乏も平等』。

 

これも、ふざけてるように見えて、このご時世だとどんだけメッセージ性が強い事か。

 

 

 

 

 

 

 

そして、あれよ、前から論争になってた謎の黒人歌手、AYA NAKAMURA。

 

いや、フランス人として謎とか言ったらいけないのかもしれないが、アラフォーの私はちょうど自分は聞かない、自分の子もまだ小さすぎて聞かない、ってので完全にターゲット層からアウトで、彼女にまつわる論争には興味をあまり持っていなかった。

 

 

 

簡単に言えば彼女はフランス語圏で一番聞かれてる歌手として知られ、保守的なフランス人からはめちゃくちゃ嫌われている。

 

まぁ一部のフランス人からして黒人で女ってだけでもうアウトなのだが、さらに彼女の歌詞が独特で・・・

 

(日本語で言えば、いわゆる若者言葉と、フランス本土以外(というかアフリカのフランス語圏の国)のフランス語のスラングなどが混ざった、まぁ、彼女を嫌うフランス人の白人のおっさんが聞いたら意味不明なフランス語だったりする。フランス語に対するリスペクトがない!みたいに言われてる笑い泣き

 

 

 

 

そのAYA NAKAMURAが・・・・

 

正しいフランス語とはなんぞやという議論を独占するアカデミー・フランセーズの前で歌ってる!!!!

 

しかも!

 

ギャルド・レピュブリケーヌ(共和国親衛隊)と言う、フランスの軍を象徴しうる、それこそ保守派が崇拝するような組織の部隊に!

 

お~じゃ~じゃ~と歌わせてる!!!!!!笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 

 

もうみんな大爆笑。

 

 

(ちなみにおーじゃーじゃーはフランス語を破滅させると大批判されてる彼女の代表作のサビの部分!)

 

 

 

しかもさすが兵隊さんたち、超真顔でステップ踏みながら歌ってる笑い泣き

 

あっぱれ。

 

 

 

そして、最後の!

 

AYA NAKAMURAとダンサーたちの敬礼!

 

 

 

 

か、かっこよかった・・・

 

 

 

あんなに保守派に嫌われてる彼女が、親衛隊をバックに、敬礼をする。

 

言うまでもないが軍や権力を嫌う人々はそのシンボル的な敬礼も嫌う。だから、絶対しない。

 

 

 

 

 

 

外野がフランスのアイデンティティが~フランス語が~いやそれは差別的で~なんて言い争ってるのをよそに、親衛隊とAYA NAKAMURAが共演してるえーん

 

かっこよすぎるやろ!!

 

 

 

 

 

あとは・・・

 

 

 

もう、語りだしたらきりがない・・・

 

 

 

 

 

そもそもしょっぱなから、ジダンとジャメル・ドゥブーズと言うフランスで超有名なコメディアンからスタートしていたが。

 

彼らもフランス国民が大好きな、それでいて移民系のフランス人たちで。

 

(一部の人が真のフランス人じゃない!とか騒ぐようなタイプのフランス人)

 

 

 

 

 

 

何から何まで、パリの街が政治的に圧倒的に左寄りなのを抜群に表している演出だった。

 

 

 

 

 

 

そうそう、これは注意書きみたいになるが。

 

満場一致で思ったのが(←計3人)、あの開会式は、決してフランスを表してはいなかった。

 

 

あれは、パリを、パリの精神、パリの思想、パリのメンタリティを完全に表していた。

 

 

 

 

日本人がどう理解しているか分からないが、フランスでは(アメリカのトランプも同じだが)田舎ほど極右が強く、都市部ほど極右が嫌われる。

 

(芸術界も当たり前だが保守主義とは相性が良くなく、昨日みたいな祝祭の演出はやっぱり政治的に言えばどうしても左よりになるのだろう)

 

 

 

 

 

だから、昨日の開会式は、ものすごい大胆な挑発だった。

 

パリの、一部のフランスの人たちが掲げた理念、思想を、その他のフランス人、その他の世界各国に、お祭り騒ぎの中でこれでもかと見せつける、ある意味フランス人らしい皮肉と挑発たっぷりの演出。

 

 

 

 

ちなみに一緒にテレビを見ていた二人の男友達は二人そろって30代のフェミニストなパリジャンのラガーマン達で、やっぱりと言うかそのプロフィールからして開会式を絶賛してた。

 

フランスの歴史を築いてきた女性たちがセーヌ川からゆっくりと現れるシーンでは

「ルイーズ・ミシェルを出せ!!!じゃないと怒る!!!!」

「よっしゃジゼル・アリミ来た!!!!!」

と興奮してヤジ飛ばしまくり。

一人は何度か涙ぐんでた(酔っぱらってたのもあるが笑)

 

 

 

 

 

私たちは大興奮した開会式ではあったが。

 

 

 

 

 

私はそっと心に誓った。

 

 

 

 

この夏、いろんな親戚と会うが、絶対話題にはしないでおこう真顔

 

 

 

 

 

 

クリスマスで集まった時に政治的な話を避けるのと同じように。

 

 

 

 

 

昨日の開会式はあまりにもメッセージ性が強く、それを

 

「よかった!」

 

「楽しめた!」

 

と言うだけで、政治的な発言になるだろう。

 

 

 

 

あの開会式を見ていて反吐が出たというフランス人も多いだろう。

 

 

 

 

 

だから、私は、内心「いや~良かった、いや~楽しかった、さすがフランス、やってくれたなぁ」と思うが。

 

 

政治的に意見が合わないフランス人との議論はこれ以上なく面倒だから、

 

ブログで吐いてこの興奮をおさめ、

 

 

 

 

絶対、この開会式を議論のネタとして扱わないようにしようと心掛けたい。