鳥籠の中で | In a bird cage

In a bird cage

これは空想の話、そして現実の話。

子供の頃から視界にはいつも影が映り込む。
見上げる頭上には放射状に金色の柵が広がっていて、
私をすっぽり逃がさないように覆っていた。
足にもいつの間にか鉄枷が嵌められ、
今も自由と熱を奪い去り、私を孤独の中に閉じ込める。

風切羽のないその身では
空を思うことさえ許されず
つまらぬ芸で笑いを取って
その日暮らしを繰り返す

けれど翼があったとて
君の仲間は街に留まり
野山で生きることはない
かつての姿はもう戻らない

不吉を運ぶ漆黒を纏う
賢く力強い君さえも
時の流れには逆らわず
流されるまま住処を変えた

何も持たないこの身では
自由を願うことさえ許されず
つまらぬ芸で舞台に立って
その日暮らしを繰り返す




家で飼われる鳥は、
時に風切羽を切り取られて
永遠に空を飛べない体になってしまう。
人に媚びて愛嬌を振りまいて
ただ餌をもらうことでしか生きられない。
そんな体になってしまう。

けれど、街で生きる鳥の中には
自然で生きることよりも
人間の生活スタイルに合わせ
確かに野生の生き物ではありながら
人の社会に溶けこむような生き方を
あえて選ぶ鳥だっている。

その黒い姿は死を運ぶだとか
黄泉の国の使いだとか言われる
賢くて力も強いカラスの生態は
人間がまだ自然と共存していた
都会化していなかった頃と比べて
どんな風に変わっていったんだろう。
自然の中ではそれほど危険な天敵もないのに
どうしてわざわざ人間のような
成長していく危険と共存するんだろう。

私には空を渡るための翼がないから
カラスのように遠くへ旅もできなくて
力強い体も硬いくちばしのような武器もなくて
子供の頃から教えこまれた人間らしさを
毎日演じることで命をつないでいる。
それはまるで鳥籠の中の小鳥のような
自由のない人生でしかない。
そして、カラスのようにその場に合わせて
自分から人間社会に溶けこむことを妥協する
少し不自然な人生なのかもしれない。