そのクライアントさんは、


子育てで大きく悩んでいらっしゃいました。


 


その悩みとは、


「子どもと接しているとイライラして怒りすぎてしまう・・・」


「子どものことを愛しているのかどうかわからなくなる・・・」


というものでした。


 


クライアントさんは、


子どもが生まれてからずっと、


「子どものために」


一生懸命やってこられました。


 


外で恥をかくことがないよう、


しつけもなにもかも完璧に


やってこられたのです。


 


しかし、子どもは、


そんな母親であるクライアントさんの思いを無視して


言うことを聞かず、


家事も育児もしない、だらしない父親のほうに


なついているのでした。


 


父親のほうに笑顔で駆け寄る子どもを見ると、


とても腹立たしくなるのだそうです。


 


そんなお子さんの不満を話すクライアントさんの影に、


お母様の姿が見えました。


 


そのことをお伝えすると、


クライアントさんは、


お母様との関係について、お母様への思いについて、


話し始めてくれました。


 


クライアントさんが育児を一生懸命こなしていたのは、


 


「母親のようには絶対なりたくない!」


「私は母親のような子育てをしない!」


 


という思いからだったのでした。


 


幼少期、クライアントさんは、


ほとんどお母様に構ってもらえず、


寂しい思いと悔しい思いを


たくさん経験してこられたのだそうです。


 


その反動が、


強く子育てに影響していたのです。


 


一緒にクッキーを作ることなどを、よく子どもさんとされるらしいです。


 


一見とても楽しそうな親子の時間・・・。


 


しかし、本音はどうでしょう?


 


お伺いすると、


「まったく楽しくない」


のだそうです。


 


そういう状態で作っているクッキーなので、


味も美味しくなくなり、


子どもたちも楽しいとは思っていないようでした。


 


世の中、目に見えないことが9割以上を占めています。


家庭も、子どもは目には見えない空気やエネルギーを察して、動いています。


 


クライアントさんの子育てに対するネガティブなエネルギーで、


お子さん自体も苦しんでいたのです。


 


お父様が帰ってくると空気が変わるので、


お子さんたちは父親のほうに寄っていくのです。


 


私は、ご家族のために、お子さんのために、


「もういいんだよ」


と、自分をゆるしてあげることをしてほしいと


お伝えしました。


 


そして、


お母様に対して、


「母親があんな風だったから、私はこうする」


と考えるのではなく、


お母様と自分のことを切り離して考えるようにお伝えしました。


 


そして、


紙にご自身の幼少期のことから現在までのストーリー・・・


やりたくなかったこと、やりたかったこと、


すべて思いのまま書き出してくださいとお伝えしました(ブレインダンプ)。


 


ブレインダンプをされたそのクライアントさんは、


幼少期、保母さんになりたかったことや、


会社員時代、よく後輩の相談にのっていたときのことなどを思い出しました。


 


そして、会社員時代などは母親のことを考えたことはなく、


子どもができてから、母親に対して強い反発心を抱くようになったことにも


気づいたのでした。


 


それから、


 


「私の子育てと、母の子育ては関係ない。


母親みたいになりたくないから、完璧なお母さんを演じるのではなく、


私は私らしく、私がやりたいと思うことをやろう」


 


と思えるようになったクライアントさん。


 


その後は子どもへの接し方・感じ方も


徐々に変わっていったのでした。


 


子どもが言うことに対して、以前は、


 


「なんて嫌なことを言うの!?私に対するイヤミ!?」


なんて感じていたことが、


「おもしろいことを言う子だなあ」


という感覚に変わっていったのだそうです。


 


そうすると、子どもも母親に対してのイメージが変わります。


 


会話も弾み、家族仲がとても良くなってきたそうです。


 


子育てに悩みはつきものですが、


どんな親に育てられようと、


どんな辛い幼少期を過ごしていようと、


自分をゆるし、受け入れることができると、


子どもとの関係が変わります。


 


自分の子どもと自分との関係は、


ご両親に関わらず


これから自分たちで作っていくことができるのだということを


忘れないでください。