今日も「キャメロン インドアス ポーツセンター」の観客席は,青一色に染まっていた.0.5%くらいの水色の集団(ノースキャロライナ大の応援)はあったが,その存在を無視するかのように,「レッツゴー ディユーク!」の声は終始館内に響き渡っていた.試合は,残り5分でノースキャロライナ大(UNC)がスパート,接戦をものにした.NCAA メンズバスケットボール,ACC(アトランティック コースト カンファレンス,「東海岸リーグ」と言った感じか.)のグレートライバル,ディユーク大とUNCの試合は,今年に限らずいつも縺れに縺れる.この2校の試合は,個々の選手の技能を単順に足しこんだ合計の差では,決着がつかない.一方のチームに,どんなに優れたスーパースターがいても,試合は今日のように不思議に縺れてしまう.技や選手の名前で決着がつく試合ではなく,チームの気迫とチームプレーの完成度が勝敗を分ける,ものすごく密度の濃い切磋琢磨の関係である.アメリカでは,このようなライバル関係を至るところで見かけることができる.NCAAでは,CALとスタンフォード,UCLAUSC,フロリダ大とマイアミ大,アラバマ大とLSUなどなど,数えてもきりがない.MLBでも,ヤンキースとレッドソックス,ジャイアンツとドジャース,カージナルスとカブス,NHLでは,メイプルリーフとカナディアンズ,レッドウイングスとブラックホークス,ペンギンズとフライヤーズなどなど,熱いライバル対決がファンの心を捉えてやまない.日本に目を向けると,巨人と阪神,慶応と早稲田くらいか・・・。国土の大きさに差はあるが,少々寂しい気がしてしまう.アメリカのスポーツ人気の屋台骨は,これらの個々のライバル関係が根底で支えている.とかく,リーグ全体のマーケティング活動やチーム単位のプロモーションに目が向くが,ゲームにおいて,これらのライバル関係のような,意味付けある試合の存在が加わることによって,選手とファンの気持ちは一層深くかきたてられることになる.しかし,ライバル関係の構築は,単に歴史を積み重ねることだけでは難しい.やはり,お互いのチームが常に優勝を狙えるコンテンダーであり,デビジョンやリーグのタイトルを賭けるような落せない試合を積み上げてこそ,築き上げられるものである.ワクワクするようなライバル関係の存在を増やすことは,リーグを活性化することに繋がる.

A-ロッドの謝罪インタビューは,まずまずの出来だった.何度も,何度も「ソーリー」を繰り返し,恥ずべきことをしたと謝罪をした.ヤンキースにとっても,彼のステロイド使用が,00~03のテキサス時代であったことは不幸中の幸いだった.04年以降は,罰則規定ができているため,仮に,04年以降だったら,球団も罰則を受け,A‐ロッドも遡って出場停止を食らうところだった.それにしても,テキサスの3年間,つまりステロイドを常用した3年間は,素晴らしい成績だった.ほぼ,全試合出場,ほぼ3割をマーク,ホームランもほぼ50本,打点も3年間の平均は125点,オンベースパーセンテージは,ほぼ4割,文句のつけようのない成績である.これが,ステロイドの効用だったとは・・・.今,2つ,気になることがある.まず,なぜ104名のポジティブリスト(薬物使用の反応が出た者)から,A‐ロッドの名前だけが,流布されたのかだ.数ある者から彼の名前だけが,明らかになったことは大きな謎である.そうい言えば,トーリーの本でも,A-ロッドのよろしくない話が,幾つか取り上げられている.メジャーリーグには,同業を守り合う強い同胞意識がある.特に,互いのプライバシーの問題には振れないことが,”暗黙の業界ルール”である.それなのに,離婚,マドンナやモデルとのゴシップ,トーリーの暴露,そして極め付けは薬物使用.本来なら考えられないくらい、A-ロッドの回りから,ネタが沸き出てくる.現在,彼が大リーグで最も優れた打者であることに,異論ある者は少ないと思う.これまでの彼は,多少の悪評を封じ込める,言わば,アンタッチャブルキングであった.しかし,それもついに,回りが我慢できないくらいの状態になっていたのだろう.パンパンに張りつめた多くの者のうっぷんが,一挙にはじけ出てる形になってしまった.このことを一番感じているのはただならぬA-ロッド本人であろう.その証拠が,今回の間髪入れないタイミングの,謝罪インタビューの実施だった.もう一つ,疑問,いや危惧がある.そもそも,ボンズのホームラン数世界一は,既に「*」付きだった.多くの者が認めず,アスタリスクマーク,つまり参考数字となっていた.それでも,その数字が残っていたのは,あと5年もすれば,その記録をA-ロッドが抜いてくれることを誰もが疑っていなかったからだ.しかし,まさか,その553本中,実に156本がステロイドに汚されたホームランであったとは,誰も予想していなかった.MLBは,難しい選択に迫られている.薬物使用を認めた者をホームランキングとするのか・・・。A-ロッドは謝罪だけでは取り消せない過失を犯してしまった。

ニューイングランド ペイトリオッツが,クォーターバックのマット カセールと,14億5千万円で,来シーズンの契約を結んだ.ペイトリオッツのQBと言えば,言わずと知れたブラディである.そのブラディが,昨シーズンの緒戦で,ACL(膝前十字靭帯断裂)となり,絶望となった際,彗星のごとく現れチームを救ったのが,カセールだった.残念ながら,プレーオフに進出はできなかったが,カージナルス戦に300ヤード以上投げたプレーは,まだ,目にやきついている.カセールとこれだけの巨額契約を結んだと言うことは,①ブラディは来シーズンも無理 ②ブラディーはシーズン途中に帰ってくるかもしれないが,その時も,カセールがスターター ③ブラディをトレードに出す この3つの選択肢のいずれかに,決めていると言うことであろう.少なくとも,14億5千万円の契約をした選手を,サイドラインに立たせておくだけ,と言うことはありえない.皮肉なことに,この状況は,前々QBのブレッドソーが怪我をして,ブラディが彗星のように現れた時とそっくりである.いや,あの時点のブラディよりも,今年のカセールのプレーは上のようにも見えた.パスは正確だし,実に落ち着いていて,急にスターターを命じられた若い選手には見えなかった.これまで,このカセールを全く知らなかったため,改めて選手名鑑を見て,更に驚いた.マットカセール・・26歳・・USC !?とあるではないか.出身校にUSCとあったのを見て,少し時間が止まってしまった.26歳と言うことは,現ベンガルズのパルマーと現カージナルスのライナートの2人のハイズマントロフィーウイナ-がいた時期と全くかぶる.つまり,カセールは,USCではずーとこの2人の陰に隠れて,控え選手であったわけだ.これ程の資質の選手が大学4年間,控えであったことに驚いた.ペイトリオッツは,この控え選手をドラフト7順目で指名した.いや正確にいえば,”ひっかけた”わけである.その選手が入団4年後に,大化けをした.2年前のシーズンでは,38ヤードしか投げていない選手が,今年は3700ヤードを投げたのである.脅威的な成長だ.カセールは長い7年間の控え生活でも,決して努力を怠らなかったと言うことなんだろう.彼が控えで腐っていたら,こんなプレーをシーズンを通して行えるわけがない.努力を惜しまなかったカセールの勝利だ.それが,14億5千万円の契約に繋がった.メジャースポーツでは,チャンスは少なく,しかも一瞬だ.そのチャンスをものにしたカセールの,日々の努力は敬服に値いする.スポーツでなくても,見習いたいことである.