スポーツの世界に限らず,どんな社会でも,マネージメントのトップに座ると,まず行いたくなるのが,人事を刷新して,前任者を間接的に否定することだ.昨日書いたヤンキースでも,父の後を受け継いだ息子達は,父が信頼を置いていたトーリーをまず更迭した.昨日のニュースで入ってきた,サンズのポーターヘッドコーチのシーズン半ばの解任劇も,この種の事に端を発している.サンズGMのスティーブ カーのインタビューを聞く限りでも,今回の決定が苦汁の選択であったことが容易に伺い知れる.まさか,自分が呼んできたポーターを,途中で自ら解任するとは,思ってもいなかったであろう.その苦悩は,オールスター中に,電話ではなく,わざわざポーターの家にまで行って事情を解説し,理解を求めたことでも解る.サンズは,オーナーであったコランジェロがチームを売却し,GMであった息子が売却後も,2年間は残って指揮,その後結局,ラプターズのGMに転身して行った.言わば,前ヘッドコーチのダントー二と,アップテンポバスケットは,前任者親子の遺産だった.そのダントニーニがニックスに去り,サンズのバスケトも徐々に,セットオフェンスに化して行った.既に,アップテンポバスケットの核であった,マリオンはヒートに,ダイワ&ベルはボブキャッツに去り,その影が殆どなくなってきた.その矢先,今回のヘッドコーチ更迭劇となったわけだ.現オーナーなのか,カー自身なのか,前任の残したスタイルを変えようとした張本人は,分からない.しかし,今回の交代劇は,どうもオーナー,つまり経営サイドの判断であるようだ.浮上の鍵となったのは,結局は,ナッシュだった.今年の彼は余り光っていない.セットオフェンスバスケットの司令塔は,彼には不向きなようだ.彼がもっと自由に走って,動いて,パスを出してこそ,勝てるサンズバスケであると言うのが,現在の回答なんだろう.今回のように前任者を再評価することは,決して楽しいことではない.それとも,カーには彼自身のあっと言う秘策があるのだろうか.彼の真骨頂を見てみたい.
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NBAのオールスターが迫っている.毎年この時期になると,スター選手のトレード話で賑やかになってくる.今年はすでに,マリオン(ヒート),ストゥドマイヤー(サンズ),オニール(ラプターズ),カーター(ネッツ)などのビッグネームが頻繁に取り沙汰されている.NBAのトレードデッドラインは,他のメジャースポーツよりも早く設定されている.もう少し終盤戦でも良いと思うのだが、一人の選手のウエイトが他のスポーツより重いバスケットボールでは,プレーオフ出場をかけた土壇場でのトレードによる補強は許されていない.しかしながらこの時期,思った程,大型トレードはまとまらない.その理由のひとつは,一人の選手の年棒が余りに高額なためである.前掲したマリオンは今年約17億円,ストゥドマイヤーは約15億円,カーターも約15億円,オニールに至っては約21億円!? NBAの各チームには,サラリーキャップが設けられているため,このような驚くべき高額年棒の選手を取るためには,“キャップルーム“つまり,サラリーキャップを上回らないための,年棒余裕額の調整をする必要が出てくる.例えば,Aチームから大物選手Bを獲得する場合,自チームで中堅規模の契約をしているCを,チームDに放出して,チームDからCの見返りの選手Eを,チームAに送ってもらい,自チームの控え選手Fとの契約をうちきる.この場合,”Buyout“(インセンティブ リタア)と言って,契約を切る選手Fの,残りの契約期間に見合うサラリー額の75%を,例えFが他チームでプレーをしなくても支払わなければならない.契約打ち切り後,Fが他チームと新たに契約を交わした場合は,Fの新しい契約金額に応じて,支払うべき金額が変ってくる,そして最後に,Aチームに来年のドラフト1巡目の指名権(ロータリーピックでない.)を渡す,と言った一連の業務が必要になる.これらの,複雑な全ての契約に関する業務をGM(ゼネラルマネージャー)が,相手球団,放出・獲得する選手の代理人達と,弁護士を使って,中心的に行わなければならないのである.しかし,せっかく,こんなに沢山の会議とペーパーワークを行っても,トレードされて来る大物選手が,来年の夏にフリーエージェントになって,出て行ってしまうケースは決して少なくない.そのため,オールスター前のトレードトークについては,「労多くして利少なし.」が,最近のNBAでは定説となってきている.メジャースポーツの大型トレードは,ファンがちょっとワクワクする,戦略実現の手段だが,NBAに限らず,他のリーグでも同様な現象が散見できる.昨今のメジャースポーツ球団のGMには,戦略整備知識より,まずは,法務(法規と契約業務に精通していること)と,財務(お金の計算が得意なこと,Leveraged buyoutや,Discounted Cash Flow の計算手法のを理解していること.)の知識が必要になって来ている.