横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか | 映画時々サッカー観戦ブログ

横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか



を読んだ。



あれからもう四半世紀以上経過。時の流れを感じつつ、やはり風化させてはいけないと改めて思う。

横浜フリューゲルスの前身となるクラブがどうやって生まれ、そこからどうやって横浜フリューゲルスになるのか。そしてどういう経緯を経て横浜マリノスと「合併」するのかが詳しく書いてある。

ヴェルディサポーターの立場からしても、李国秀、唐井直、更にはカズとヤスの父親といった馴染みの人物が多く登場するから、非常に読み応えがあった。多分、半分くらいの内容は登場人物の経歴紹介。それくらい多くの人が横浜フリューゲルスに関わっていた。

で、何故フリューゲルスがああなったかというと、やっぱり関係者の殆どが「Jリーグの理念」を理解していなかったからだと思う。その象徴が放漫経営。赤字をいくら生み出しても誰も気にしない。親会社から独立して運営しようという意志がまるでなかった。これは今のJリーグでも多くのクラブに当てはまるけど。そして運営が立ち行かなくなったら潰す。これも企業スポーツの発想。レベルを落としてでも存続させる意志がない。ヴェルディやベルマーレにはそれがあった。あの時、サンパイオや山口、楢崎ら有力選手を売り払って「J2に落ちます」と言えば、今でもフリューゲルスは存続出来たと思う。そもそも横浜フリューゲルスは全日空が「作った」クラブではないんだから、全日空はフリューゲルスの歴史自体を理解していなかったとも思う。

横浜フリューゲルスが無くなったのは勿論残念。だけどこの事件があったから、ヴェルディも2010年に起きた存続の危機を乗り切れたのかもしれない。フリューゲルスみたいなクラブを二度と出してはいけない、ヴェルディやJリーグ関係者の多くがそう考えていたのは間違いない。だからJリーグが直接運営に乗り出した。また自分も、ヴェルディがどんなに落ちぶれてもサポーターを続けてこられたのかなと思う。フリューゲルスサポーターはもう、応援するクラブがない。それに比べたら、応援するクラブがあるというのはそれだけで幸せなことなんだと実感させられる。フリューゲルス消滅は「反面教師」として今でもJリーグの「役に立って」いる。だから消えて良かったとは思わないのでそのあたりは誤解なきよう。

今年、ヴェルディがJ1に復帰して話題になった。ならば、横浜FCかYSCC横浜が横浜フリューゲルスを名乗ればJリーグ人気は劇的に復活するのでは思う。全日空はフリューゲルスの名前を横浜市やフリューゲルスサポーターに返すべき。そして横浜F・マリノスを横浜マリノスに戻すべきだと思う。もしそれが実現したら、90年代を超えるJリーグフィーバーが巻き起こる。そんな気がしてならないし、フリューゲルスにはその力があると思う。