本日(6月26日)虎ノ門ニュースの感想  | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

友人に勧められて武田邦彦先生の虎ノ門ニュースみたのですが、明らかなミスリードが少なくとも2件ありました。あまりにもあまりになんで途中でみるのやめてしまいました。勧めてくれた友人には申し訳ないのですが、ちょっと私には最後までみるに耐えませんでした

 

武田邦彦先生の場合は「常識とは異なった見解」を前提に論を展開するのでしばしば明らかな誤りをおかしてしまいます。もちろん全てがおかしいわけではありません。駐留米軍の件やサウジアラビア皇太子の件など「確かにその通り」という内容も多いので、余計に厄介です。

 

 

「人が犬を噛んだらニュースになるが、犬が人を噛んでもニュースにならない」という有名な言葉通り「マスメディアや皆が”そうだ”と思っていることと違うことをいえばニュースになる」、つまり注目されてネットアクセスも増えて本も売れるという典型的な大衆迎合主義です。

 

百田さんの歴史解釈同様、エンターテインメントとして楽しむ分にはOKですが、これを説得力の高い、誰もがそうだと思える見解だと思わない方がいいですね。100万アクセスも稼いでいるのは、眼から鱗的だからでしょうが、それも内容が伴ってこそです。

 

◼️ミスリードその1:喫煙率が下がると肺がんが増えると言う説

あのグラフをみて納得する人もいると思いますが、文系のわたしレベルでもわかってしまう明らかなトリック。

 

年齢調整後の死亡率と喫煙率を比較すべきですが、年齢調整していない単純死亡数と喫煙率を比較している時点で、明らかな誤りです。

 

寿命が伸びれば伸びるほど癌で死ぬ人は多くなり、かつ高齢化社会で高齢者も激増しているので、単純な死亡数も加速度的に激増します。かつ喫煙率が下がったらそのまま同じ年に死亡数が増えるわけでもない。喫煙やめて15年経たないといけないので、2000年の喫煙率減少は2015年以降有効でかつその人が死亡するまで何が死因か待つ必要があります。

 

以下に詳しい。

 

http://taste.sakura.ne.jp/static/farm/science/kunihiko_takeda_medicine.html

 

したがって国立がんセンター作成の一般的な科学的検証(コホート研究など)である手法によって影響があるかどうかをみるべき。詳細は以下のサイト。明らかに喫煙と肺がんは相関関係にあります。

 

https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/783.html

 

肺癌の専門家と一度議論してみたら面白いのでは、と思います。

 

◼️ミスリードその2:中国の本来の領土はもっと小さいの地図。

これは説明不要かもしれません。武田先生の理屈でいえば、大学で中国思想を専攻していた私からすると本来の中国は「中原」と呼ばれるもっと狭いエリアのみであり、武田先生の主張する地図でもまだ広い。

 

 

例えば広東省や貴州省や広西チワン族自治区など、明らかに南蛮と呼ばれた異民族のエリアも占領地です。一体いつの時代が本来の領土なんでしょう。

 

一方で「小学校で教える地図」に掲載されていない朝鮮半島やベトナムなどを占領地にしていた時代もありますね。

 

ちなみに武田邦彦先生の理屈でいえば、沖縄県は本来の日本の領土ではありません。明治時代に琉球処分によって日本が植民地化したからです。日本の地図も沖縄県も「占領地」として表記すべきなんでしょうか。

 

とはいえ、虎ノ門ニュースは、ピュアなエンターテインメントとして楽しむのは面白そうなので、是々非々での視聴をお勧めします。

 

より説得力の高い主張が知りたければ、スティーブン・ピンカーやダニエル・カーネマン、マット・リドレー、ユヴァル・ノア・ハラリなどの本をお勧めします。もちろん彼らも「どうかな」と思う部分はありますが、武田邦彦先生ほど多くはありませんので。。。