経済成長なき幸福国家論 下り坂ニッポンの生き方 藻谷浩介・平田オリザ著 読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

ついつい東京の方に目がいってしまいますし、マスメディアも東京中心で情報発信していくので、なかなか地方の視点というのが、見えてこないのですが、1970年代後半以降じわじわと成熟社会に向かってきた日本がとうとう、少子高齢化本格時代を迎えるにあたり、その先行指標となっている地方の視点を持ってもいいのではないかという書籍。


確かに地方の魅力は旅行に行くとよくわかるが、よくわかっても地方には都会との二重生活のレベルまでなら住んでもいいかなと思うレベルで、移住しようと思わない。

都市にあって地方にないもの、地方にあって都市にないもの、これを冷静に比較して、地方の方により魅力があると思っている人は、地方に住むし、都会の方が魅力があると思っている人は、都会に住む。

もちろん仕事の問題はありますが、収入の多寡を気にしなければ、GとLで有名な冨山和彦さんの本や本書を読む限り地方にも仕事はたくさんあります。

私の場合、美味しいものは東京に集まっているし、音楽のライブも東京に集まっているし、自分に興味のある領域の先生の講義を聴講するにも東京にしかできないし、これはネットの普及だけでは補えない。

そうすると生活費は割高でも東京圏に住むしかない。そういう選択肢になってしまう。

そして、人口減少の問題は少子高齢化人口減少が問題なのではなく、「急激に」少子高齢化人口減少が問題なので、このような社会にマッチした新しい価値観や政治などが、生まれてしかるべきなのは賛成ですが、その打開策としての本書の内容はマッチしているとは思えない。

室町時代の地方からの年貢によって成り立っていたとか、地方の労働力で都会の経済成長が成り立っていたとかいう議論もありましたが、地方交付税は政策経費の20%(15兆円÷74兆円)あって、地方ばらまきは進んでいるし、一票の格差問題で選挙も地方に有利な制度になっているし、地方への権力や財政の分配はそれなりに充実している。

それでも都会に人が集まってしまうのは、結局のところ、総体的には都会の方が魅力があるということなんではないでしょうか?