ゲンロン0 東浩紀著 読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

ゲンロン0 観光客の哲学/東 浩紀

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今、バリ島リゾートホテルにて、まさに「観光客」として滞在しているので、やっと本書も読了できました。

今我々が生きているこの時代を様々な立場の人が論じていますが、哲学者は今の時代をどのように捉えているのか、昔から興味深かったのですが、本書は東氏なりの一つの現代社会に対する一つの解釈とその方向性を出してくれたのかなと思います。

著者によれば、現代社会をナショナリズム(政治、思考、コミュニタリアニズム、国民国家、スモールワールド、ツリー)の世界とグローバリゼーション(経済、欲望、リバタリアニズム、帝国、スケールフリー、リゾーム)の時代の二重構造と捉えた上で、この二重構造をリンクする新しい概念として「偶然、郵便的、観光客、家族」というキーワードが重要になるのではと示唆。

個人的には第6章「不気味なもの」におけるサイバースペースに関する内容が実に面白かった。SF小説における未来の世界がどんづまったなか、その先の代替えとしての仮想空間、つまりサイバースペースがSF小説のテーマになったというのはなるほどと思った。

車のスピードへの進歩が行き着くところまで行ってしまったので、スーパーカーへの憧憬、つまりモダン的な男の子のベクトルが車から離れてしまったけれど、攻殻機動隊やマトリクスがイメージした電脳空間や、戦闘するほど強くなるというガンダムのプログラム(まるで今のディープラーニング)、などなど情報革新の世界に新たな未来を感じてきたのは私だけではないと思う。

そしてこのサイバースペースも郵便的なるものとしての二重構造の媒介者たる役割を果たすのではという。

いずれにしても、東氏の本はまだ2作目なので、過去の作品を継続して読み続けてみようと思う。