サイクスピコ協定が今の中東の混乱を招いたというのが、最近とみに聞こえる話だが、どうやらそれだけではないというのが本書の内容。
オスマン帝国が500年ぐらいか、ながらく支配してきたことで、安定した地域であった中東〜バルカン半島だったが、帝国の力が衰えたことで、ロシアの南進政策や西欧列強の帝国主義が台頭し、その影響が現代まで続いているのが今の中東混乱の原因だという。
そして、サイクス=ピコ協定とそのあとのセーブル条約・ローザンヌ条約の3つがセットになって現在の秩序が出来上がったという。
と言ってもクルド問題が解決せず、イスラエルという人工国家ができ、アラブは分裂したままの状況。
もし、サイクス=ピコ協定がなかったとしても、何らかの支配と従属の関係によって近代国家としての国境線は引かざるをえず、その国境線をどのように引いたとしても、オスマン帝国と同じ1国としての版図でなければ、必ず分裂がもたらす悲劇は起きたということだろう。