『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』矢部宏治著 読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

日本はなぜ基地と原発を止められないのか、の続編。アメリカには日本における基地権だけでなく、指揮権もあるということを証明した本。
これも前作に続いて恐るべき事実です。
つまり安保法制の混乱は全く無意味であって、最初から決まっていたということがよくわかる。
一方で、トランプの考え方にも近く、こんな所でトランプの主張とマッチしてしまうというのも、だいぶアメリカも時代の価値観の変化に合わせて変わってくるものだというのも理解です。

一方でこの議論と原発反対の主張はどうも噛み合わない。不思議な著者です。


トランプの主張は戦後のアメリカの主張と真っ向から対決するのが面白い。自分の国は自分で守るべきだから、在日米軍は撤退して日本は核武装すれば良いという。

この本を読めば分かるが、GHQは敵にするととっても手強い日本が2度と戦争のできないよう、憲法で戦争をできないよう、かつ軍隊を持てないよう拘束して、なおかつ日米安保&日米地位協定で米国の敵国とならないよう規定して、なおかつ民主主義という米国と共通の価値観を植え付けて、なおかつ在日米軍の日本の施政権の及ぶ範囲における基地権と指揮権を保持しているというのに。

彼はこれらの日本における米国の特権を放棄しようとしているのか?

単純に世界最強の軍隊に日本が歯向かえる筈ないから、と高をくくっているのか?

はてさてどっちなんでしょう。

さて私は、この本を読了したことに及んで、これまでの憲法9条保持の考え方から大きく変えなければいけないと思った次第です。

矢部氏の主張するように、公明党の加憲の考え方で、先制攻撃は絶対しないという専守防衛のための最小限の軍隊の配備を9条3項として、追加し、正式に自衛隊をシビリアンコントロールに基づく正式な軍隊として認めたらどうだろうか。

もちろん非武装中立は理想だが、価値観を共有できない国家、中国や北朝鮮が近隣に存在する以上、仕方がない。

そして
米国も、たとえトランプが大統領選で負けようと他の国の防衛までしてらんないというコンセンサスが形成されつつあるようだから、治外法権となっている各種密約や日米地位協定を見直して、不平等条約を平等条約に転換し、財政出動によって軍事費を強化し、日本は専守防衛のための国防軍として自衛隊を日本国を単独で防衛できるだけの強化を行う。

その代り、米国とは改めて平等な軍事同盟を結び、米軍基地は縮小して国防軍が代替的に配備する。その中で沖縄の米軍基地問題も見直しを図る(地政学上、全てなくすことは困難だが。。。。)。ただし、安保法制のように米国の先制攻撃には絶対加担しない。あくまで「日米双方のどちらかが施政権の及ぶエリアにおいて先制攻撃を受けた場合に限って」の集団的自衛権の発動とする、という特殊な軍事同盟にする。

そして、核兵器の配備も真剣に考える段階にきているのではないだろうか?

現に核兵器を持っている国は、戦後70年間の歴史をみても間違いなく先制攻撃の対象にならない。もっとも専守防衛が具現化する策だ。

費用対効果の側面でみると単独防衛というこの議論は不毛だが(つまり現状維持の方が安上がり)、無条件に米国が日本を守ってくれる訳ではない(大統領&議会の承認が必要)以上、高まる地政学上のリスクが及ぶに鑑みると致し方ないということだろう。