「ルイス・スアレス自伝 理由」読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

何かとお騒がな事件が多いルイス・スアレスの自伝。本人自身フットボリスタのインタビューでも、この本の中身はみんな真実だ、そう思って読んでほしい」とのスアレスのコメント通り、素直に460ページ読んだ。印象的なのは奥さんソフィとの関係。そして、人種差別・噛みつきなどの本当の真実(彼から見た真実といったほうがいいかもしれない)が、ストレートに書かれている。そしてウルグアイというあまり馴染みのない国の生活や文化なども垣間見ることができる、日本人にとっては、希少な本。


ウルグアイのフットボーラーの特徴、そしてスアレス自身の正直な人種差別や噛みつき事件の事実。

ウルグアイ人は、ひたすら体力トレーニングと勝負にこだわるサッカーで育ってきている。だから、どんな形であっても勝利を優先させるために、ありとあわゆる手を使う。

そして審判は、ペナルティーエリアで体に触れたらPKになるなど、審判の体質も随分と違う。そんな環境で育ってきたスアレスは、もともとの才能と努力のために、順調に名門ナショナルに入団し、そして、ヨーロッパへとステップアップしていく、生活は苦しくも、サッカーエリートとしては、順調な人生。でもその中身は全く違う。

その中でも奥さんソフィは、ウルグアイのたたき上げの頃からの恋人。彼女の一家がバルセロナに移住してしまうので、なんとか自分もヨーロッパのクラブにいけないか?というとってもピュアな動機。

本能の闘争心の赴くままにプレイするスタイルが時に相手選手とのトラブルをより多く引き起こしてしまうのもスアレスならでは。

噛みつきに対する彼の言い訳も面白い。

噛み付いても体に歯型がつくだけで、サッカーできなくなるわけじゃない。でも蹴ったり殴ったりしたら、怪我して相手選手がサッカーできなくなることもある。

だから噛みつきなんて、ファウルの中ではそんな大したファウルじゃない、て感じ。

確かにそうだが。。。目立つことには違いない。

ただし、エブラとの人種差別の問題については、彼の言う通りなのだろう。スペイン語のNegro
というニュアンスはシンプルな「黒」という意味で、英語の「ニグロ」という差別用語とはだいぶ違うようだ。

エブラがスアレスとの試合中の揉め事でスアレスを陥れようとしてアピールしたことが、後で大事になってしまって、エブラも引くに引けなくなってしまったというのが多分真実だろう。

そんなわけで、最初は彼にはいい印象は持っていなかったが、ウルグアイの文化、彼の生い立ち、そして、彼を必死で支えるソフィの真摯な姿とそれに応えるスアレスの素直さを知ると、ついつい応援したくなってしまう。

そして、なんといってもセンターフォワードというポジションに対する彼の信念が素敵だ。

「フォワードは、味方全員から見られている。だから率先して戦わなくてはいけない。フォワードが戦う姿勢を見せれば、後ろの10人全員が皆その気になる」

そんな彼のプレイスタイル、実に気に入った。