【「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか】読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

日本人の特質を、山本七平や丸山真男の論を活用しながら、歴史学・考古学・哲学などの知識を駆使して、解説した著作。

結論をいえば、日本人だけにしかない特質を中国大陸から適度に離れた日本列島の距離感によって、民族の危機に陥るレベルの戦争を経験しなかったために「空気」に支配される日本人(日本列島に定住している人間という意味での)にしかない独特の特質を持つに至ったということ。「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイヤモンド氏の文明論同様、地理的要因が日本人の特質を決定したということでしょう。

確かにこの理屈に則れば、信念・宗教的同一性・中央集権よりも関係性に重点をおく調和型社会などの日本ならではの特徴が説明できるとは、なるほどと思わせる理屈である。


万世一系の天皇が長年に渡って続いているのも大陸から丁度いい塩梅に離れた立地によるとは、まさにその通りかもしれませんね。

民族が滅びる程の強烈な悲劇や、地中海世界のように頻繁に他民族が海賊として略奪にやってきたり、北方の恐るべき遊牧民族が、皆殺しにやってくることはない。

一方で、ハワイイやフィリピンのように文明圏から頻繁に交流できない程の距離感を持った島であれば、文明も発達しない。

日本列島の場合「文明は輸入しながらも究極的な侵略からは逃れられたという日本列島ならではの距離感が、今の日本人の特質を形成した」とはなるほど説得力のある説だと思う。