監督 ケニー・オルテガ
2009年 米国作品
今夏(書いたのが6年前なので)ロンドンで開催される筈だったマイケル・ジャクソン幻のライヴ「THIS IS IT」のリハーサル風景とその舞台裏を収めたドキュメンタリー、映画の方もそのままの題名「THIS IS IT」を観ました。
彼の急死がなければおそらくDVDの特典映像に入るべきシーンを見事に繋ぎ合わせて1本の作品にしてあります。
80年代に15歳から25歳という最も音楽と親しむ時期に、当然のように見て聴いていたアーティストがマイケル・ジャクソンだった。
当時、1日に1回は必ず耳にしていたのではないかと…それほどマイケル・ジャクソンはあちこちに溢れていた印象があり、そんな自分なので映画の出来とかそんなことは問題ではなく、スクリーンの中で確かにマイケルは動き、そして歌っていることに素直に感動してしまいました。
楽曲は当然の如く素晴らしく、ダンスも言うことなし。演出家としての顔も時折見せ、それがまたきちんとマイケル・ジャクソンしていて、感心してしまった。
カメラは2時間、ほとんどマイケルだけを追い続けるが、一瞬たりとも目を離すことができず、釘付けとはまさにこのことを言うのではないかと思った次第です。
キング・オブ・ポップとはよくぞ言ったものである。
ただ、観終わって奇妙に思ったことがある。
それは黒人の匂いがしないことだ。
ビリー・ホリデー、ルイ・アームストロング、最近だとマーヴィン・ゲイ、レイ・チャールズ…数えるほどではあるが、亡くなった黒人のミュージシャンのドキュメンタリーを観たことがあるが、それらには確かに黒人がいたし、ソウルがあった。しかし、マイケルのこのドキュメンタリーにはそれをまったく感じない。
「ライヴのリハーサルのみだから?」、「それがポップスさ」…或いはそうかもしれない。が、そう言い切れもしない。
映画の中に、3人のハリウッド・スターが出てくる。
エドワード・G・ロビンソン、リタ・ヘイワース、そしてハンフリー・ボガート…3人とも白人だ。それに何故ボギーなのだ?、何故ロビンソンなのだ?
悪いと言っているのではない。だが、そこにどうにも違和感を感じたことも事実だ。
監督は、意図はあったのだろうか…観終わった今、そこが非常に気になります。